クリーンエネルギー&プラスチック関連動向     2025/5/26
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クリーンエネルギー&プラスチック関連動向     2025/5/26

政策・規制、審議会

経産省 ガソリンへのバイオエタノール導入拡大アクションプラン        2025/5/22

 経済産業省は5月22日、次世代燃料導入促進に向けた官民協議会WGで、ガソリンへのバイオエタノール導入拡大に向けたアクションプランを提示した。以下に概要を示す。

■必要性
 運輸部門でのGHG排出量削減として、バイオ燃料及び合成燃料を活用し、液体燃料のカーボンニュートラル化を実現する。

■方針
 ・2030年度までにガソリンへの直接混合も含めたバイオエタノール導入拡大により、最大10%の低炭素ガソリンの供給開始。
 ・2030年代早期に、乗用車新車をE20対応車にする。
 ・2040年度から、最大濃度20%の低炭素ガソリンの供給開始。

■課題
 ・生産、輸送・貯蔵、製造、製品輸送、販売など各サプライチェーンで課題あり。
 ・特に、輸送でのタンクローリー、SSでのE10、E20に体制のある材料への変更、および地下タンクの改修・新設。これらの設備改修コスト負担。

■アクションプラン案
 ・燃料品質・車両規格: 2027年度までに燃料品質検討を行い、2028年度にE10規格改正、2029年度にE20規格改正。
 ・燃料調達: 2027年度までにFS/FEED、2028年半ばまでにEPCを行い、E10の先行導入を開始。
 ・供給インフラ: SS/ローリー改修を2028年半ばまでに行う。
 -これらのアクションプランを実行するため、バイオエタノール導入拡大に向けたタスクフォース(TF)チームとして、上記3項目チームを組成して対応する。

 今後、調査・検討を推進し、精緻化する。アクションプランについては、進捗に応じて今秋を目途に見直しを行うとしている。

水素、アンモニア、LOHC

九州電力 ホワイト水素の研究開発を開始      2025/5/23

 九州電力は、九州大学と共同で、NEDOが公募したフロンティア育成事業に応募した九州地域の天然水素資源の実用化に向けた研究開発が、委託先として採択されたと発表した。事業では、九州地域の天然水素の生産・供給・利用の技術条件を整理し、実用化に向けた研究開発を行う。

エア・ウォーター 水素ステーション札幌大通東を開所2025/5/23

 エア・ウォーターは、北海道札幌市が推進する「水素モデル街区」に、北海道では初となる大規模商用水素ステーション「エア・ウォーター 水素ステーション札幌大通東」を開所したと発表した。水素充填設備を2ライン搭載し、FCVやFCバス・トラックなど大型商用車への充填に対応している。

合成燃料

JOGMEC Infiniumの米国e-Fuel事業第2号案件が最終投資決定  2025/5/20

 JOGMECは、三菱商事と共同で出資している米国Infinium(インフィニウム)社が推進している米国テキサス州西部での商用規模e-Fuel製造プロジェクト ロードランナーの最終投資決定(FID)がされ、建設工事が開始したと発表した。JOGMECと三菱商事は、2025年1月に、インフィニウム社が実施した資金調達に参画した。インフィニウム社は、米国テキサス州コーパスクリスティでe-Fuel製造事業の第1号案件パスファインダーを実施していて、ロードランナーは、第2号案件となる。

三菱ガス化学 木質バイオマス由来メタノール製造事業性検証   2025/5/22

 三菱ガス化学は、廃棄物処理・資源リサイクル・再生可能エネルギー事業などを行うTREホールディングスと共同で、国内の木質バイオマスおよび廃棄物を活用した、商用規模のグリーンメタノール製造の事業性検証を行うと発表した。TREは、木質資源については千葉県森林組合と連携し、廃プラスチックなどはTREグループ会社から調達し、メタノール製造に適した構成で原料として三菱ガスに供給する。三菱ガスは、TREからの原料を合成ガスに転換し、グリーンメタノールの製造・販売を行う。検証プラントは千葉県内に設置を行うとしている。

日揮HD 中部国際空港で国産SAFを初供給   2025/5/23

 日揮HDは、グループ会社SAFFAIRE SKY ENERGYが製造する国産SAFが、中部国際空港セントレアでDHL Express貨物便に初めて供給されたと発表した。セントレアでの国産SAF供給は初めてで、日本国内の空港では関西国際空港に続いて2例目となる。

出光 石炭ボイラー向けCN燃料導入ソリューションの提供を開始       2025/5/23

 出光興産は、野村総合研究所(NRI)と共同で開発した、石炭ボイラーのCO2排出量を抑制するソリューション「idemitsu-R40」について、2025年5月26日より提供を開始すると発表した。idemitsu-R40は、発電所や工場などで使用されている石炭ボイラーについて、大規模な改修を行うことなく、出光が手掛ける半炭化バイオマス燃料「出光グリーンエナジーペレット(IGEP)」を適用してカーボンニュートラル(CN)化を図るもので、コンサルティングとカーボンニュートラル(CN)燃料支援システムの2つから成る。
 コンサルティングでは、CN燃料が石炭ボイラー性能へ与える影響を評価し、バイオマス混焼率を高める手順などを提供する。支援では、NRIのAI「Fiboat」を活用して、最適な燃焼計画の策定支援を行うほか、ボイラーの運転監視やCO2削減やコスト低減などを見える化してデータ共有を行う。

CO2回収、DAC、CCUS

INPEX 首都圏CCS事業での令和7年度委託契約を締結      2025/5/21

 INPEXは、2024年3月にJOGMECが公募した「先進的CCS事業に関わる設計作業等」で採用された首都圏CCS事業について、JOGMEC及び首都圏CCSと令和7年度の委託契約を締結したと発表した。日本製鉄及び関東天然瓦斯開発と共同で、日本製鉄東日本製鉄所君津地区及び京葉臨海工業地帯の複数産業を排出源とするCO2を回収し、パイプラインで輸送の上、千葉県外房沖の海域に貯留するCCS事業の設計・評価作業を前年度に引き続き行う。

運搬・貯蔵、燃焼、その他

川崎重工 鉄道輸送用液化水素タンクコンテナがNEDO助成事業に採択 2025/5/23

 川崎重工はグループ会社である川崎車両が、日本貨物鉄道および鉄道総合技術研究所と共同で、NEDOに提案した「鉄道輸送用液化水素タンクコンテナの開発」が助成事業に採択されたと発表した。自動車用陸上輸送用の液化水素タンクコンテナはすでに実用化されているが、鉄道輸送と道路輸送では、振動や輸送環境が異なるため、陸上輸送用をベースに、鉄道輸送固有の振動耐久性能、高断熱性能、蓄圧性能を満たすタンク技術の開発と検証を行う。30ft級サイズをは基本とし、40ftサイズへの拡大も検討する。事業期間は、2025年度から2027年度までとなっている。

プラスチック

日揮HD インドネシアでの廃プラ油化FS       2025/5/20

 日揮HDは、丸紅の子会社である丸紅インドネシアと共同で、丸紅インドネシアがインドネシアで計画する廃プラ油化ケミカルリサイクル事業に関して、油化プロセスの事業化検討(FS)に関わる業務委託契約を締結したと発表した。検討では、丸紅インドネシアが現地で連携するスタートアップ レコシステム社が運営する廃棄物選別施設から、従来型ではリサイクルが困難な複合プラスチックを抽出し、日揮グループが保有する油化プロセスPyro-Blueを活用した廃プラ油化ケミカルリサイクルのFSを行う。日揮HDは、茨木県大洗町の技術研究所に設置されているベンチ試験設備で、原料に想定する廃プラの油化実証試験を実施するとともに、2025年夏頃までにFS結果をまとめる予定だ。

東ソー 機能性3級アミン「RZETA」が日化協の環境技術賞を受賞      2025/5/21

 東ソーは、開発した機能性3級アミン「RZETA」が、日本化学工業協会主催の第57回日化協技術賞において環境技術賞を受賞したと発表した。3級アミンは、ポリウレタン(PU)製造工程で発泡促進触媒として使用されるが、製造後PUから徐々に揮散し、アミンエミッションとして臭気や他の部材への汚染を引き起こす課題があった。開発した3級アミンRZETAは、アミンエミッションの発生がなく、環境対応型PU製造触媒となっている。また、CO2回収で使用されるアミンは、燃焼排ガス中のNOxなどで分解され劣化するという課題があるが、RZETAは、NOxに対し高い耐久性を持つことから、NOxが含まれるごみ焼却場やセメント工場などの燃焼排ガスからのCO2回収への適用で、長期間の安定運転が期待される。現在、プラントへの実装を検討している。環境技術賞の受賞について東ソーは、「受賞を励みとし、引き続き研究開発を進めていく」としている。

統計

ニュースウォッチ

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