クリーンエネルギー&プラスチック関連動向     2025/9/15
クリーンエネルギー&プラスチック関連動向     2025/9/15

クリーンエネルギー&プラスチック関連動向     2025/9/15

目次

つばめBHB 東京都委託事業「アンモニア・肥料製造調査」を実施へ     2025/9/5

 つばめBHBは、東京都が実施する「グリーン水素を使用したアンモニアおよび肥料製造に係る調査」を受託したデロイトトーマツベンチャーサポート(DTVS)より、業務の一部について再委託を受けたと発表した。東京都は2025年秋に大田区京浜島でグリーン水素製造設備の稼働を予定していて、2026年度以降にこの施設で製造したグリーン水素からアンモニアおよび窒素系肥料の試験製造の検討を行う計画だ。つばめBHBは、肥料およびアンモニアの市場概況や、グリーン水素を活用したアンモニア・肥料について、国内で製造可能な製品選定や製造方法について調査を行う。

日本特殊陶業 ポーランドでSOECアンモニア合成開発 2025/9/10

 日本特殊陶業は、ルカシェヴィッチ新化学合成研究所(L-INS)、ヒンフラ、ロックフィンなどポーランドの化学メーカーを含む5者と、SOECを用いたグリーンアンモニア向け水電解装置の実証および産業規模システムの開発に関する覚書を締結したと発表した。今回の実証では、L-INSの実証施設に日本特殊陶業が技術開発を進めてきたSOEC電解装置を導入して水素を製造し、ハーバー・ボッシュ法アンモニア合成プロセスへの適用成立性の検証を行う。初期目標は、年間数十万トンのアンモニアを生産する工場にグリーン水素を供給することを目指す。日本特殊陶業は、実証を通じてSOEC技術を社会実装から量産開発段階へ進める。

GSユアサ 北海道大学と共同でCO2分離回収技術を開発      2025/9/10

 GSユアサは、北海道大学との共同研究で、電気透析を応用したCO2分離回収技術を開発し、CO2分離回収システムの小型実証機を7月から稼働開始したと発表した。従来CO2分離回収技術は、火力発電所などの大規模プラントでの運用を想定したものとなっていた。GSユアサは、中・小規模設備への適用を図る目的で、電気透析を用いて電気化学的にpHを制御するpHスイング機構を採用した。高効率で99%以上の高濃度CO2を回収できる。稼働した実証機ではCO2処理量を1日あたり1kgまで高める。その後、1トン/日レベルまで大型化することを目指す。

合成燃料

IHI 古紙バイオエタノール実証プラントを受注  2025/9/8

 IHIはグループ会社であるIHIプラントが、ENEOSとTOPPAN HDが推進する古紙を原料としたバイオエタノール実証事業での、糖化発酵プロセスパイロットプラントのEPC業務を受注したと発表した。事業は、ENEOSがNEDOのバイオものづくり革命推進事業の採択を受けて実施する。パイロットプラントは、日本製紙富士工場内に設置され、1日あたり1~3tの古紙を投入し、約300Lのバイオエタノールを生産する。ENEOSはTOPPANと協力し、前処理プロセスでの不要物質の除去や繊維成分の抽出精度の向上を目指し、IHIプラントはこれまで培ってきたバイオプラント技術を活かし、糖化発酵プロセスプラントのEPCを担当する。2027年前半の稼働を予定する。

ENEOS 東京都の脱炭素燃料活用支援事業に採択される      2025/9/8

 ENEOSは、海外で製造された合成燃料を国内施設で品質調整などを行い製品化した上で、東京都内の様々なモビリティなどへ供給する事業が、東京都の「脱炭素燃料活用における事業化促進支援事業」に採択されたと発表した。実施期間は令和7年8年の2年間。ENEOSは、2024年9月に中央技術研究所内に1バレル/日規模合成燃料製造実証プラントを始動させている。

三菱重工 長岡メタネーション実証にCO2NNEXを適用        2025/9/11

 三菱重工業は、INPEX及び大阪ガスが共同で取り組んでいるCO2流通を可視化・管理するプラットフォームCO2NNEXシステムを、INPEXと大阪ガスが推進している長岡メタネーション実証に実装すると発表した。長岡メタネーションでは、水素とINPEX長岡鉱場越路原プラント内で回収したCO2を用いてe-メタンを製造し、天然ガスパイプラインへ注入し需要家に供給する。CO2NNEXは、水素、CO2原料やe-メタンの量を可視化するとともに、創出されたクリーンガス証書の移転や利用を管理する。経産省は今後、液体燃料の環境価値を証書化するクリーン燃料証書とあわせ、e-メタンやバイオメタンなどの気体燃料についてもクリーンガス証書に関する証書制度を整備していく計画で、3社は長岡メタネーション実証でのCO2NNEXシステム活用のデータや環境価値管理に関する知見を制度整備に活用すべく運用していくとしている。

三菱重工 パイロットプラントで所期純度バイオエタノールを生成        2025/9/12

 三菱重工業は、総合研究所長崎地区「長崎カーボンニュートラルパーク」内のバイオエタノール製造パイロットプラントに設置した膜分離脱水システムMMDS(Mitsubishi Membrane Dehydration System)により、国内燃料規格の所期性能である99.5vol%以上の純度のエタノールを生成したと発表した。MMDSは、脱水工程を従来のPSA方式から「分子ふるい膜分離方式」に置き換えることで30%超のエネルギー削減を実現した。また、MMDSは液相分離であるため装置のコンパクト化を可能にした。三菱重工は、パイロットプラントでの各種要素試験の結果を踏まえ、実証プラントを建設し、早期の市場投入に向け開発を行っていくとしている。

大王製紙 合成燃料製造事業が環境省モデル事業に採択        2025/9/12

 大王製紙は、日本政策投資銀行(DBJ)を共同事業者とする四国中央産合成燃料事業が、環境省の「令和7年度 地域での燃料製造・利活用に関する炭素循環事業モデルの構築に向けたCCUベンチスケール実証等事業」に採択されたと発表した。四国中央エリアの大王製紙を含む大手製紙会社およびDBJが中心となり、2021年6月に四国中央市CN協議会を設置。2023年3月には、ロードマップ(RM)を公表している。今回の取り組みはRMの中のひとつで、大王製紙が所有するバイオマスボイラー由来のCO2およびグリーン電力を活用し、SAFやe-ディーゼルなどの合成燃料の製造・販売を検討する。モデル事業を活用し、2030年代中ごろの商用プラント建造への事業規模拡大を目指すとしている。

CO2回収、DAC、CCUS

日東電工 ノルウェーCO2分離技術社と共同開発契約締結     2025/9/9

 日東電工は、CO2分離膜技術を開発するノルウェーのアクアラング・カーボンキャプチャー社と、共同開発契約(JDA)を締結したと発表した。アクアラング社は、選択的に分子を透過させる促進輸送膜技術を保有している。日東電工は、薄膜コーティング技術や生産インフラを活用し、アクアラング社の技術を活用してCO2分離膜の製造およびスケールアップに関する知見を提供し、2026年度中の顧客環境での実証試験実施を目指す。日東電工は、アクアラング社に投資を行ったことで主要株主となり、分離膜の供給パートナーとなった。

エア・ウォーター バイオマス混焼発電所回収CO2でCCS       20205/9/10

 エア・ウォーターは、中国電力と共同で、バイオマス混焼発電所から回収したCO2の利活用に関する共同検討を実施すると発表した。中国電力グループのエネルギア・パワー山口が運営する防府バイオマス発電所で導入を検討しているCCS設備で回収したCO2の一部について、エア・ウォーターが液化炭酸ガスおよびドライアイスの製造を検討する。また、将来的には低炭素水素との合成でe-メタンの製造などについても検討を行う。エア・ウォーターは、BECCS設備からの回収CO2の利活用は、需給がひっ迫する液化炭酸ガス・ドライアイスの安定供給に繋がり、地域の発展にも寄与するとしている。

出光 合成炭カルをアスファルト舗装に活用    2025/9/11

 出光興産は、日本道路と共同で、排ガス中のCO2を固定化した合成炭酸カルシウム「カルカーボ」を配合するアスファルト舗装を、茨木県鹿嶋市の市道に施工したと発表した。カルカーボは、ボイラー排ガス中のCO2と、電柱や基礎杭などコンクリート製品製造工場で発生するコンクリートスラッジに含まれるカルシウムを合成して製造される。今回の舗装では、老朽化してひび割れや凹凸がある区間の約200m2を約1トンのカルカーボを配合したアスファルト舗装材で施工し、約200kgのCO2を道路に固定化したとしている。

運搬・貯蔵、燃焼、その他

川崎重工 アンモニア燃料推進LPG/アンモニア運搬船のAiPを取得    2025/9/8

 川崎重工は、三井E&Sと共同で、液化アンモニアを舶用燃料として使用可能なLPG/アンモニア運搬船の基本設計承認(AiP)を日本海事協会(ClassNK)より取得したと発表した。承認を受けたアンモニア燃料推進LPG/アンモニア運搬船設計仕様としては、貨物として搭載する液化アンモニアを燃料として使用するため専用の燃料タンクが不必要であること、およびアンモニアガスを大気放出する際は、アンモニア除外装置によりアンモニアを無害化して放出することができるようになっていることなどが挙げられる。

体制

三井化学、出光、住友化学 国内ポリオレフィン事業を統合へ    2025/9/10

 三井化学、出光興産、住友化学は、国内のポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などのポリオレフィン(PO)事業を統合すると発表した。三井化学と出光の合弁会社であるプライムポリマー(PRM)が行うPO事業と、住友化学が行うPP及びLLDPE事業を統合する。POは中国での過剰生産により価格が下落し、国内のPO事業は競争力の強化が求められている。現在のPRMの生産能力はPPが年産126万トン、PEが55万トン。住友化学はPPが33万トン、PEが17万トンだ。3社は事業統合で、生産能力最適化としてPP1系列、PE1系列の追加停止・集約などを行うことで年間80億円の合理化を目指し、競争力の強化を図る。PRMを統合会社とし、統合は2026年4月を予定する。統合後の出資比率は、三井化学52%、出光28%、住友化学20%となる。

出光 富士石油をTOBで子会社化      2025/9/11

 出光興産は、富士石油の普通株式に対して約261億円を投じて公開買付けを実施すると発表した。9月11日時点で出光は富士石油の株式22.06%を保有していて、持分法適用関連会社としている。富士石油は、アジアへの輸出拠点として有利な千葉県袖ケ浦市に製油所を保有している。出光は国内に5か所の製油所を保有するが、需要の減少により2030年に向けて適性生産による減産を計画していて、富士石油の製油所を加えることで、最適生産の計画を練り上げるとみられる。

プラスチック

三井化学 バイオマスバランス原料使用ウレタンマットレスを共同開発   2025/9/11

 三井化学は、マイまくら物産と共同で、マスバランス方式に準じたバイオマス原料トルエンジイソシアネート(TDI)を用いたBioウレタンマットレス「NATURE REST」の開発に成功したと発表した。ウレタンマットレス1.000台当たり、7.8tのCO2を固定化するとしている。

三菱ケミカル アクリル樹脂リサイクル材がホンダのN-ONE e:に採用        2025/9/11

 三菱ケミカルは、ホンダと共同で開発したPMMAリサイクル材が、軽BEV「N-ONE e:」のドアバイザーに採用された発表した。三菱ケミカルは、2021年からマイクロ波化学と共同で、マイクロ波を利用したアクリル樹脂の熱分解リサイクル技術を開発してきた。使用済み自動車から回収したアクリル樹脂は、品質安定性や再利用の観点からこれまでリサイクル利用が難しかった。三菱ケミカルはホンダ共同で、異物が混入しない回収方法とバージン材と同等の品質をもつ再生技術を確立することで、アクリル樹脂のリサイクル材再生使用を可能にした。

統計

原油、ガソリン 生産、販売量 2025年7月

汎用樹脂 生産、販売量 2025年7月

ニュースウォッチ

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