政策・規制、審議会
経産省 水電解による水素製造研究開発・社会実装についての改定案を提示 2025/9/16
経済産業省は、9月16日の産業構造審議会で、再エネ等電力を活用した水電解による水素製造について、世界での技術開発および実証試験状況を踏まえ、アルカリ型およびPEM型水電解装置の大規模製造能力拡大に向けた投資を支援するとともに、研究開発段階にあるSOEC型装置について低コスト化の可能性追求の技術開発・実証を加速させる方向性を示した。
特に、SOEC型については7月7日に開催されたWGでの検討状況をから、2032年までにSOECの設備コストを6.8万円/kWより下げることを見通せる技術の実現を目標として、水電解装置の大型化・モジュール化技術開発、膜や触媒など部素材の装置への実装技術開発、外部廃熱を利用できる需要家と連携した実証について公募を行う。
以上を含め経産省は、グリーンイノベーション基金事業「再エネ等由来の電⼒を活⽤した⽔電解による⽔素製造」プロジェクト研究開発・社会実装計画の改定案を提示した。アルカリ型・PEM型水電解装置については2025年頃の建設開始、2027年頃の実証運転開始を設定し、上限685.2億円の予算、SOEC型については2028年頃の建設開始、2030年頃の実証運転開始の事業継続判断を行うとして上限80.9億円の予算を計上した。従来、685.2億円の予算であったものが、アルカリ型・PEM型、SOEC型合わせて766.1億円の予算と約81億円の増加とした。
水素、アンモニア、LOHC
川崎重工 日独連携水素SC構築で覚書を締結 2025/9/15
川崎重工は、トヨタ自動車、関西電力、ダイムラートラック、ハンブルグ自由港倉庫建築組合と、「日独連携水素サプライチェーン構築に向けた覚書」を締結したと発表した。覚書は、水素の国際的な利活用推進を目指すと共に、日本とドイツの需要を合わせることにより、高い経済性を持つ水素サプライチェーンの構築を目標とするものだ。湾港・物流やモビリティ、発電などの産業分野での、国際的な水素輸送の実用化と事業化を推進していくとしている。
東京ガス レーザー式アンモニア検知器の販売を開始 2025/9/16
東京ガスのグループ会社である東京ガスエンジニアリングソリューションズは、遠隔からアンモニアを検知するレーザー式アンモニア検知器「レーザー・アンモニア」を開発し、販売を開始したと発表した。10ppm・mレベルの微量アンモニアを、レーザー光によりアンモニア分子が特定波長1.49μm帯の光を吸収する特性を利用して、最大30mの距離から検知することができる。片手に収まる小型・軽量で、信頼性も確保し、アンモニアを取り扱う現場の保安向上に加え、設備管理の品質向上および高効率化に寄与するとしている。

エア・ウォーター 北海道豊富町にDMR水素製造プラントが完成 2025/9/19
エア・ウォーターは、戸田工業と共同で、北海道天塩郡豊富町で建設を推進していた未利用天然ガスを活用したDMR水素製造プラントが完成し、9月18日竣工式を行ったと発表した。エア・ウォーターと戸田工業は、2021年より鉄系触媒を用いてメタンを原料としたメタン直接改質法(DMR)による水素製造プロセスおよびシステム開発に取り組んできた。豊富町では温泉に付随してメタン含有量95%の天然ガスが産出されるが未利用のままとなっていた。事業ではDMR法による商業規模の水素製造プラントを設置し、高純度水素を製造する。製造した水素は近隣の需要家に供給することで品質実証を行う。また、副生成物の炭素は多層カーボンナノチューブ(CNT)として、用途探索と性能評価を進めるとしている。プラントは、水素を1時間当たり40Nm3製造する能力があり、設備を通じて99.99%以上の高純度水素に精製する。また、CNTは年間100t製造する能力を保有する。

合成燃料
日揮HD アフリカ開発銀行とSAF分野で協力 2025/9/16
日揮HDはグループ会社である日揮グローバルが、アフリカ開発銀行と、8月22日にSAF分野での協力に関する覚書を締結したと発表した。IHIは、SAFに関する知見・技術・実績を活かして、アフリカ地域でのSAF分野の普及促進を推進するとしている。
ENEOS 水素閣僚会議で合成燃料バスを運行 2025/9/16
ENEOSは、西日本ジェイアールバス、日野自動車と共同で、9月15日大阪府内で開催された経済産業省主催の「持続可能燃料会議」および「水素閣僚会議」で、合成燃料を使用したバスを運行したと発表した。ENEOSは、2024年9月に神奈川県横浜市にある中央技術研究所内に合成燃料製造実証プラントを完成させていて、大阪・関西万博でも合成燃料を使用した駅シャトルバスの運行を行っている。
いすゞ バイオメタン充填実証に参加 2025/9/16
いすゞ自動車は、ルネッサンス・エナジー・リサーチ(RER)と共同で、9月3日に大阪府泉佐野市内で実施した、小型充填機を用いたバイオメタンの車両充填実証に参加したと発表した。バイオマスをメタン発酵させたバイオガスから、RERの分離膜技術によりCO2を分離し、濃度90%のバイオメタンを生成する。生成したバイオメタンを小型ガス充填機で圧縮した上で、いすゞの小型トラック「エルフCNG車」に充填した。エンジン始動および走行は問題なく、バイオメタンが自動車燃料として実用可能であることを確認した。いすゞは国内で天然ガス車(NGV)を量産・販売している唯一の自動車メーカーだ。いすゞは、商用車の多様な用途や特性を踏まえ、マルチパスウェイで様々なCN商品の可能性の検討及び普及促進に取り組むとしている。
IHI ジョイフル本田と廃食油の回収・再利用で連携 2025/9/16
IHIは、東京都西多摩郡の瑞穂町、ホームセンター運用を手掛けるジョイフル本田、および日本航空(JAL)と、廃食用油を原料とした持続可能な航空燃料製造および活用の推進に関する連携協定を締結したと発表した。家庭から出る廃食用油を回収し、SAF等を製造した上で、JALの航空機燃料として使用するほか、IHI瑞穂工場で実施される航空エンジンの運転試験でも使用する。
IHI 航空エンジン出荷前運転試験にSAFを利用 2025/9/17
IHIは、民間航空機用エンジンの整備事業を手掛けている瑞穂工場(東京都西多摩郡瑞穂町)で、エンジン整備後の出荷前運転試験に使用する燃料として、混合バイオ燃料(SAF)の導入を行うと発表した。東京都の「脱炭素燃料活用における事業化促進支援事業」のひとつとして選定された事業となっている。今後、SAF導入に向けた手続きなどの準備を行い、2026年下期からSAFの使用を予定する。
CO2回収、DAC、CCUS
INPEX 京都大学大学院に脱炭素関連工学講座を設立 2025/9/16
INPEXは、京都大学に寄附講座として「INPEX脱炭素社会実現エネルギー資源開発工学講座」を設立すると発表した。講座では、CO2分離回収、地中貯留、活用(CCS、CCUS)技術、水素地下貯蔵技術、石油・天然ガス増進回収技術とカーボンリサイクル技術に関する研究開発および人材教育を推進する。設置期間は、2025年10月1日から2030年9月30日としている。
JAPEX 苫小牧エリアでのCCS試掘を実施へ 2025/9/17
石油資源開発(JAPEX)は、苫小牧エリアでのCCS事業について、特定区域でのCO2貯留に適した地層の存在を確認することを目的とした試掘について、経済産業大臣より試掘の許可を受領したと発表した。2025年11月を目途に、掘削リグを使用して合計2本の試掘井のための掘削を開始する。その結果を踏まえ、2026年度内に最終投資判断を行うとしている。
M&A、出資
出光 CDR技術開発スタートアップVycarb社に出資 2025/9/19
出光興産は米国子会社IAHを通じて、海洋アルカリ化(OAE:Ocean Alkalinity Enhancement)を用いて大気中のCO2を除去する技術(CDR: Carbon Dioxide Removal)を開発している米国スタートアップVycarb(バイカーブ)社に出資したと発表した。OAEは、CDR処方のひとつで、水中に溶解しているCO2を石灰石などのアルカリ性鉱物に固定化する。バイカーブ社は、海水や河川水のCO2除去・貯留技術の開発を行っていて、陸上にある小型コンテナ内に設置した設備でアルカリ性鉱物と海水や河川水を反応させCO2を固定化した上で、炭酸塩や重炭酸塩と水として河川に放流する。出光は、国内外のスタートアップや関係機関との連携を強化し、CDRに向けた取り組みを推進するとしている。

統計
エチレン生産量 2025年8月
ニュースウォッチ
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