水素、アンモニア、LOHC
川崎重工 舶用水素エンジンの陸上運転に成功 2025/10/20
川崎重工は、ヤンマーパワーソリューション、ジャパンエンジンコーポレーションと共同で推進している、NEDO GI基金事業「舶用水素エンジンおよびMHFS(舶用水素燃料タンクおよび燃料供給システム)の開発」で、実証用液化水素燃料供給設備をジャパンエンジン本社工場内に設置し、舶用水素エンジンの陸上運転に成功したと発表した。設備では、貯蔵液化水素をガス化し、川崎重工製の中速4ストロークエンジン(型式8L30KG-HDF、定格出力2,600kWm)、およびヤンマーパワーソリューション製の中速4ストロークエンジン(型式6EY22ALDF-H、定格出力800kWm)で、水素燃焼により所定の出力運転を確認した。今後2026年春に向けてジャパンエンジンが開発を行っている低速2ストロークエンジン(型式6UEC35LSGH、定格出力5,610kWm)の運転準備を行う。3社は、陸上での実証試験を経て、船社・造船所と協力して実船実証運航を行い、社会実装につなげていくとしている。
豊田自動織機 水素エンジンがAIRMANのコンプレッサーに搭載される2025/10/21
豊田自動織機は、開発した水素エンジンが、AIRMAN社が開発を進める水素専焼エンジンコンプレッサーに搭載され、実証実験をAIRMAN社と共同で実施したと発表した。建設現場などで使われる水素専焼エンジンコンプレッサーでの実証試験を通じて、性能や耐久性の評価などを実施する。豊田自動織機は、既存のガスエンジンをベースとして、産総研と共同で出力向上などの改良を行ってきた。今後、発電機やフォークリフトなどの産業機械への適用も視野に、水素エンジンの2030年頃の市場投入を目指すとしている。
川崎重工 欧州向け液化水素SCで覚書を締結 2025/10/227
川崎重工は、ダイムラートラックおよびハンブルグ湾港物流(HHLA)社と共同で、液化水素のサプライチェーン(SC)構築に関する覚書を締結したと発表した。パートナーシップでは、ハンブルグ港を経由して欧州内陸部にグリーン液化水素を供給するSCを検討する。具体的には、今後数か月間で、液化水素運搬船で輸送された水素の陸路への積み替えや、道路・鉄道輸送に必要な物流要件の検証・評価を行う。また、バリエーション全体を網羅するコンソーシアム形成に向け、他の企業や機関の参加を促すとしている。
旭化成 アルカリ水電解システムの生産能力を拡大 2025/10/23
旭化成は、川崎製造所でのアルカリ水電解システムと塩素・苛性ソーダ製造に用いるイオン交換膜法食塩電解プロセス事業に対応した電解用枠・電解用膜を併産できる工場を新設すると発表した。旭化成は、2010年よりアルカリ水電解システムの大型化・量産化を見据えた技術検証と事業性評価を推進し、2025年度からは事業フェーズに移行している。経産省GXサプライチェーン構築支援事業への採択も受け、約310億円を投資し、2GW超の水電解・食塩電解用の電解用枠・電解用膜の生産能力を備えた工場を新設する。2028年度の稼働を予定し、既存プロセス設備と合わせた生産能力は3GWを超えることになるとしている。

東京都 京浜島でグリーン水素の製造を開始 2025/10/24
東京都は、大田区京浜島の都有地で整備を推進してきたグリーン水素製造拠点で、第1基目の水電解装置が完成し、グリーン水素の製造を開始したと発表した。山梨県と共同開発した水電解装置は、1時間に最大120m3の水素を製造する能力を持つ。2027年度には、能力を3倍に増強する予定としている。
CO2回収、DAC、CCUS
ブリヂストン 使用済みタイヤの熱分解パイロットプラントを新設へ 2025/10/21
ブリヂストンは、10月21日、関工場(岐阜県関市)で使用済タイヤの熱分解パイロット実証プラントの起工式を行ったと発表した。ブリヂストンは、2022年よりケミカルリサイクルの取り組みを開始し、2023年には東京都小平市に実証機を導入して精密熱分解試験を行ってきた。今回のパイロットブラント建設は、NEDO GI基金事業「CO2等を用いたプラスチック原料製造技術開発」にENEOSと共同で採用されていて、ENEOSで使用済みタイヤから回収した分解夜をリサイクル油化し、合成ゴムの原料であるブタジエンなどの化学品を製造することで、再生カーボンブラックと共にタイヤ原材料として再利用する資源循環を目指している。施工は、東芝プラントシステムが担当し、使用済みタイヤの年間最大処理能力7,500トンのプラントの竣工を2027年に予定する。

三井物産 タイ・アーチットガス田でのCCS事業に参画 2025/10/22
三井物産は、100%子会社である三井エネルギー資源開発(MOECO)を通じ、タイの石油ガス会社PTT Exploration and Production(PTTEP)が推進するタイ沖合アーチットガス田でのCCS事業に参画したと発表した。三井物産は、MOECOのタイ関連会社が、アーチットガス田の4%の権益を保有していて、2022年より経済産業省の支援事業として調査を行ってきた。アーチットガス田でのCCS事業は、タイ初の案件として2028年の操業開始を目指している。
JOGMEC ベトナムでのCCSで協力覚書を締結 2025/10/24
JOGMECは、2025年10月17日、ベトナムのペトロベトナムおよびENEOS Xplora、ギソン2パワーと共同で、ベトナムでのCCS事業立上げに向けた協力に係る覚書を締結したと発表した。JOGMECとペトロベトナムは、2024年2月にベトナムでのCCS調査に関する共同検討協定を締結し、一部ENEOS Xploraに調査委託を行い、CCS事業立上げに向けた各種検討調査を行ってきた。その結果、ベトナム沖合で有望なCCS貯留エリア候補が確認された。また、理解促進活動により、ギソン2パワーから同社の発電所から排出されるCO2削減目的でのCCS事業に関心が表明されたことを受け、今回の協力覚書締結に至ったとしている。
プラスチック
住友ベークライト 超低モノマー水溶性フェノール樹脂のブランド名を決定 2025/10/16
住友ベークライトは、超低モノマー水溶性フェノール樹脂のブランドネームを「AQNOA(アクノア)」としたと発表した。AQNOAは、製品中のフェノールとホルムアルデヒドの残存モノマー量を0.1%未満まで低減した水溶性フェノール樹脂だ。低臭気・低VOCで、従来品と比較して作業者や作業環境の安全性を向上させていて、化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)の対象外であり、毒劇物や特定化学物質にも該当しない。
東レ 廃棄エアバック由来リサイクルナイロン66樹脂の開発を加速 2025/10/21
東レは、リファインバース社と共同で、エアバッグ端材をリサイクルしたナイロン66樹脂の協業開発に関するMoUを締結したと発表した。リファインバースが、エアバッグの回収、シリコーン剥離、洗浄、リペレット工程を担当。東レが、コンパウンド処方設計、量産を実施する。
住友ベークライト ブレーキ摩擦材向けフェノール樹脂を開発 2025/10/23
住友ベークライトは、自動車ブレーキパッド用バインダー樹脂として耐摩耗性に優れたアミド変性フェノール樹脂スミライトレジンPR-56531を開発したと発表した。開発した樹脂は、ブレーキパッドモデル配合成形体のダイナモ試験で、未変性ストレートフェノール樹脂と比較して、摩耗量が24%低減することを確認した。欧州では2028年に導入が予定されている排ガス規制Euro7ではブレーキダストの量も規制される。開発した耐摩耗性フェノール樹脂はブレーキダスト発生量低減に寄与できるとしている。

統計
エチレン生産量 2025年9月
ニュースウォッチ
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