水素、アンモニア、LOHC
川崎重工 水素航空機向け燃料タンクの液化水素充填試験に成功 2025/11/6
川崎重工は、NEDO GI基金事業に採択された「水素航空機向けコア技術開発」で、水素航空機向け燃料タンクへの液化水素充填試験に成功したと発表した。液化水素タンクは、内殻と外殻からなる真空二重殻構造で、軽量・高断熱タンクとなっている。JAXAの秋田県にある能代ロケット実験場に、直径約1.3mの液化水素燃料貯蔵タンクの試作モデルを設置し、極低温下で高い気密性を維持しつつ液化水素を貯蔵できることを確認した。
川崎重工は、2024年に小型航空エンジンの水素100%燃料による運転試験に成功している。残項目である水素航空機機体構造検討も順調に進捗していて、2030年には各要素技術を統合したシステムの地上実証試験を計画している。
合成燃料
三菱重工 ICM社とバイオエタノール膜分離で提携 2025/11/5
三菱重工業は、米国のバイオエタノール製造プロセスエンジニアリング会社ICM社と、バイオエタノールの脱水技術開発に関する戦略的提携に合意したと発表した。三菱重工は、PSA方式に代わる分子ふるい膜分離方式MMDS(Mitsubishi Membrane Dehydration System)の開発を推進していて、2025年9月には「長崎カーボンニュートラルパーク」内に設置したパイロットプラントで、MMDSを使用してバイオエタノール中の水分を脱水分離し、99.5vol%以上のエタノール純度を達成したと発表している。両社は、バイオエタノール製造プロセスにMMDSを適用し、エネルギー消費の削減、製造プロセスの安定性向上などに取り込むことで、脱水効率を高めることを目指すとしている。
三菱ガス化学 米社と低炭素メタノールの売買契約を締結 2025/11/6
三菱ガス化学は、Transition Industries(TI、米国ヒューストン)社と、低炭素メタノールの取引に関する売買契約を締結したと発表した。TI社は、炭素排出量がネットゼロのメタノールおよびグリーン水素プロジェクトを展開していて、メキシコで年間215万トンと世界最大規模の低炭素メタノール(グリーンメタノール、ブルーメタノール)を製造するプロジェクトを推進している。三菱ガス化学は、プロジェクトが商業運転開始を予定している2029年から年間約100万トン規模の低炭素メタノールを引き取り、燃料用途や各社化学品などの高まる需要に対し供給量を確保する。
CO2回収、DAC、CCUS
東芝ESS GEベルノバとガス火力発電所のCCSで協業 2025/11/6
東芝エネルギーシステムズ(東芝ESS)は、GEベルノバ(GEV)と、発電所のCO2排出量削減を目指し、GTCC発電統合型CO2分離回収ソリューションの提供に向けた協業に関する基本合意書を締結したと発表した。ソリューションは、GEVの排ガス再循環(EGR)システムと、東芝独自の吸収液を使用したCO2分離回収システムを組み合わせたものとなる。両社は、GEVがガスタービンを供給済みまたは供給予定の日本およびアジア地域のGTCC発電所に、ソリューションを適合しCO2分離回収効率の向上を目指すとしている。取り組みは、経済産業省が2024年に立ち上げた官民協力枠組み(フォーカスグループ)の関連取り組みのひとつとなっている。
体制
カナデビア Inovaが英国で2つのバイオガスプラントを買収 2025/11/4
カナデビアは、子会社でごみ焼却発電プラントやバイオガスプラントの設計・建設・運営などを手掛けるInova社(スイス)が、英国で2つのバイオガスプラントを買収したと発表した。買収案件は、英国イングランド北部Wardleyの食品廃棄物処理プラント(年間最大80,000トン処理)と、Lower Draytonの家畜ふん尿や作物廃棄物など農業残渣処理プラント(年間最大60,000トン処理)。両プランと共に生成バイオメタンをガス網に供給している。今回の買収によって、Inova社は欧州4カ国に計17のバイオガス施設を保有することになった。
プラスチック
三菱ケミカル 大都市圏での資源循環システム構築に向けた実証事業を開始 2025/11/4
三菱ケミカルは、関係各社と共同で、経産省の「令和7年度 資源自律経済確立産官学連携加速化事業」に参画し、大都市圏での地域特性に応じた資源循環システムの構築に向け、再生プラスチックを中心とした再生材の大規模供給体制に関する課題を分析・検証すると発表した。三菱ケミカルは、全体スキームの統括を行うとともに、廃プラをケミカルリサイクルにより油化し、基礎化学品の製造を実施する。他の参画社は、日本ポリエチレン、日本ポリプロ、カナオカホールディングス、大日本印刷、東洋製罐グループホールディングス、三井物産、三井物産流通グループ、リファインバース。実証事業は、2026年2月まで実施され、事業結果を基に社会実装と全国展開を目指す予定となっている。

ケミカルリサイクル・ジャパン 使用済みプラ再資源化を検証へ 2025/11/4
出光興産は子会社であるケミカルリサイクル・ジャパン(CRJ)が、オフィスや商業施設などから排出された使用済みプラスチックの油化ケミカルリサイクルの可能性を検証すると発表した。三菱総合研究所(MRI)が、経産省の「令和7年度 資源自律経済確立産官学連携加速化事業」に採択された事業にCRJが参画した。CRJは、ポストコンシューマー材料と呼ばれる、本来の目的で使用できなくなったオレフィン樹脂、PS樹脂、PETなどのプラスチックを、自社設備で油化ミカルリサイクルの検討を行う。

日本ポリプロ PP開発品2種を発表 2025/11/5
日本ポリプロは、マテリアルリサイクルポリプロピレンの新シリーズ、および“究極の透明性”を持つポリプロピレン樹脂の開発に成功したと発表した。
マテリアルリサイクルポリプロピレンの新シリーズは、環境負荷低減ポリオレフィン製品「NOVAORBIS(ノバオルビス)-MR」の新グレードで、ポストコンシューマーリサイクル(PCR)PPを30~60%配合したものだ。一般物性はバージンPP同等で、リサイクル材では稀少な“ナチュラル色(未着色)”を実現している。
”究極の透明性”を持つ新ポリプロピレン樹脂は、日本ポリプロが長年培ってきた材料設計技術と、独自のメタロセン触媒技術によって製造されたPP「ウィンテック」を融合させることで、ヘイズ値1.5%(従来材15%)と極めて低い値の透明度を達成した。PSやPETの代替材料として期待される。

M&A、出資
イーセップ 4億3千万円の資金調達を実施 2025/11/5
イーセップは、マネーフォワードベンチャーパートナーズ、Niterra水素の森ファンド、神戸大学キャピタル、京都キャピタルパートナーズ、ミライドアを引受先とする第三者割当増資で、総額4億3千万円の資金調達を実施したと発表した。イーセップは、京都大学発スタートアップで、セラミック分離膜技術を開発していて、メタノール合成への適用を目指している。
出光 合成燃料製造プロセス開発INERATEC社に出資 2025/11/7
出光興産は出光CVCを通じて、マイクロリアクターによるFT合成技術を開発しているドイツのINERATEC社に出資したと発表した。一般的なFT合成プラントでは、合成燃料製造時の反応器が大型化することで、反応器内の温度が不均一になり、反応効率が低下する。INERATEC社は、マイクロリアクターを採用することで微細な温度制御が可能となり、従来型反応器に比べ反応効率を高めることができる。出光は、INERATEC社への出資によって、FT合成と小型モジュールによる合成燃料製造技術の知見を獲得し、原料供給や製品需要の状況に柔軟に対応できる合成燃料の供給体制の構築を検討するとしている。
ニュースウォッチ
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