水素、アンモニア、LOHC
三菱化工機 MHタンク・FC一体型システムの実証を開始 2025/12/8
三菱化工機は、水素吸蔵合金タンク(MHタンク)と燃料電池(FC)を一体化したシステム「HyDel」を、カワサキ文化公園(川崎市幸区)に設置し、12月6日水素由来のエネルギーの供給を開始したと発表した。HyDelは、三菱化工機が、那須電機鉄工、日本フイルコンと共同で開発した可搬型システムで、MHタンクを使用しているため水素の圧縮が不必要で、高圧ガスに該当せず法規上の制約がなく取り扱いに優れる。また、FCに水素を供給する際にFCの廃熱を使用するため、寒冷地でも安定使用が見込め、10,000回以上の繰り返し使用が可能となっている。三菱化工機は、開発したシステムでの実証実験を重ね、2026年度中の販売開始を予定する。
東京ガス PEM型水電解装置用電解質膜の量産受注体制を確立 2025/12/9
東京ガスは、SCREEN HDと共同で、PEM型水電解装置向け触媒層電解質膜(水電解CCM)「PEXEM」の商用受注に対応できる体制を確立したと発表した。東京ガスとSCREEN社は、2021年5月より水電解CCMの共同開発に取り組み、SCREENの彦根事業所内に、最大電極面積5,000cm2の水電解用CCMを量産できる設備を導入した。年間2GWの生産能力を保有する。商用供給は、SCREENが製造を担当し、東京ガスが販売を行う。今後、生産能力を年間最大6GWまで拡張をめざすとしている。
三菱重工 蒸気加熱方式でのアンモニア分解水素製造に成功 2025/12/10
三菱重工業は、三菱重工総合研究所長崎地区に設置したパイロットプラントで、日本触媒が開発を進める触媒を用いて蒸気加熱源でのアンモニア分解により純度99%の水素製造に成功したと発表した。従来のアンモニア分解水素製造では、バーナーによる燃焼熱を用いているが、開発した技術では蒸気による加熱で水素製造を行っていて、運転コストの低減と、燃焼炉不要によるシステムの小型化が実現できる。三菱重工は、今回のパイロットプラントでの結果を踏まえ、NEDOに採択された事業開発を、日本触媒、北海道電力と協働で加速させるとしている。
合成燃料、バイオ燃料
三菱化工機 太陽石油より水素製造装置のFEEDを受注 2025/12/10
三菱化工機は、太陽石油より、太陽石油の沖縄事業所でのSAF製造整備向け水素製造装置のFEED業務を受注したと発表した。三菱化工機は、1964年に水蒸気改質法水素製造装置の建設を手掛けて以降、水素や石油などエネルギー関連プラント建設を行っている。太陽石油の沖縄でのSAF製造プロジェクトは、2028年度末までの設備完工、2029年から年20万kLのSAFおよびRDの供給開始を計画している。
商船三井 シノペックと船舶用バイオ燃料の長期供給で覚書を締結 2025/12/11
商船三井は、シノペックおよび丸紅と、船舶用バイオディーゼル燃料の長期供給体制構築に関する覚書を締結したと発表した。シノペックおよび丸紅が、貯蔵・輸送設備や供給港などのインフラ整備、バイオディーゼル燃料の安定確保を担い、商船三井が中国でのバイオディーゼル燃料の利用拡大を図る。
日揮 愛知県小牧市、中部国際空港の廃食用油をSAF原料として活用 2025/12/12
日揮HDは、レボインターナショナル、SAFFAIRE SKY ENERGYと共に、愛知県小牧市および中部国際空港と、SAF等の原料となる廃食用油の資源化に係る連携および協力に関する協定を締結したと発表した。製造されたSAFは、当面の間、中部国際空港をはじめとする国内主要空港発の国際線旅客機や貨物機の燃料として使用される。
ENEOS北米での船舶向けメタノール燃料SC構築で共同検討 2025/12/12
ENEOSは、米国船級協会、日本郵船、シーコアHDと共同で、米国ヒューストン近郊での船舶向けメタノール燃料のバンカリング・サプライチェーン(SC)構築に向けた共同検討を開始したと発表した。ENEOSは、出資先のC2Xが米国ルイジアナ州で推進しているプロジェクトで製造予定のグリーンメタノールなどの調達および海運会社向け供給を目指す。
CO2回収、DAC、CCUS
三菱重工 英国セメント工場向けCO2回収プラントを受注 2025/12/8
三菱重工業は、グローバルセメント大手のハイデルベルク・マテリアルズ社から、英国ウェールズ・フリントシャー州のベイズウッドセメント工場に、セメント工場向けCO2回収プラントを豪州のウォーリー社と共同で受注したと発表した。三菱重工のCO2回収技術Advanced KM CDR Processを採用し、年間約80万トンのCO2を回収する。回収したCO2は、パイプラインで輸送され、CCUSクラスターであるHyNet CCUSの一部として、リバプール沖の枯渇ガス田に貯留する。三菱重工はウォーリー社と共同で、2024年よりCO2回収プラントのFEEDを行っていて、ハイデルベルク・マテリアルズ社は2025年9月にFIDを英国政府と共同で行った。2029年の運転開始を予定する。
エア・ウォーター 小型CO2回収装置の運転を開始 2025/12/105
エア・ウォーターは、開発した小型CO2回収装置「ReCO2 STATION」が、北海道釧路市の釧路コールマイン社で運転を開始したと発表した。ReCO2 STATIONは、20ftコンテナサイズで、ボイラ燃焼などからの排ガスを1日あたり最大約0.4トンのCO2を分離回収することができる。石炭採掘事業を行う釧路コールマインは、2021年度より、石炭灰を利用したCO2炭酸塩鉱物化などのCCUS技術の実証試験を行ってきた。今回、ReCO2 STATIONを使用して、高純度化したCO2をタンクに貯蔵しCCUS実証に活用する。エア・ウォーターは、今回の取り組みにより、ReCO2 STATIONをはじめとするCO2回収・利用技術を通じて、脱炭素化に貢献していくとしている。
プラスチック
東レ 半導体・電子部品工程に用いる高制電ABS樹脂を開発 2025/12/11
東レは、半導体や電子機器の製造現場、超精密作業に使用する搬送資材用として、表面抵抗率109Ω/sqと、従来比1/5の高制電ABS樹脂「トヨラックバレル」を開発したと発表した。東レは、ABS樹脂中に制電ポリマーの連続層ネットワークを形成させることで帯電防止性を付与した「トヨラックバレル」に、分子構造設計の改良と独自のポリマーアロイ技術でミクロ単位で連続層制御を行うことで高制電性を達成した。2026年からサンプルワークを開始できるよう、更なる研究開発を進めるとしている。
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