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ホンダGr会社の統合・売却とマザーサン
ホンダGr会社の統合・売却とマザーサン

ホンダGr会社の統合・売却とマザーサン

 本田技研工業(以下、ホンダ)のグループ会社への統合、売却の動きが進んでいる。

 2025年12月16日、ホンダはアステモを子会社化すると発表した。2025年8月には、インドの大手自動車部品サプライヤー・マザーサングループがホンダ系部品メーカーユタカ技研への株式の公開買付けを予定するとの発表があった。

 ホンダが2021年以降、グループ会社を整理してきた動向と、近年グループ会社売却先として協力関係を深めているマザーサンについてまとめる。

この記事に含まれる内容
● ホンダとトヨタのグループ会社に対する方向性の違い
● ホンダのアステモに対する動き
● 売却された(る)ホンダ系企業4社
● マザーサンの概要と日本での動向
● ホンダにとってのメリットと今後

自動車業界が直面する環境変化

 中国を中心に電気自動車(BEV)およびプラグインハイブリッド車(PHEV)の導入が進み、日本を含む旧来の自動車OEMはICE車から電動車への展開で後れを取っている。

 国際エネルギー機関(IEA)が公表した「Global EV Outlook 2025」報告書によると、を公表している。2024年のパワートレイン別モデル数は、ICE車が1,347モデル、ハイブリット車(HEV)が169、電動車(EV)が784であったが、各社発表による2027年のモデル数は、ICE車1,378、HEV204、EV1,130となる。ICE車がほぼ変わらないのに対し、EVは1.4倍に増加する。今後もトレンドは変わらず、2030年代にはEVがICE車の割合を超えていく予測が市場調査会社から出されている。

 ICE車からEVへの転換は、パワートレインやバッテリーだけでなく、ソフトウェア領域への影響をもたらしている。パワートレインでは、モータの高性能化要求から、高回転化および電圧を従来の400Vから800Vへと高圧化する動きがある。また、駆動装置としてのeAxleは、従来のモータ、減速機、インバータを一体化した3in1から、DC-DCコンバータ、OBC、BMSなどを統合したモデルが、OEMや駆動系サプライヤーから発表されている。さらに、自動運転・SDVの開発競争は激しさを増しているが、高度に複雑化したシステムを稼働させるために電力消費量が大きくなり、バッテリーの高容量化が必要となる。いずれにしても、機械部品の精密すり合わせの妙で世界をリードしてきた旧来の自動車メーカーにとっては挑戦的な内容だ。

 縮小が予測される旧来の自動車部品に対し、電動化・ソフトウェア領域での開発力の強化を図るためには、縮小が予測され開発余地が少ないグループ会社への対応を行いながら、必要領域への開発投資を増やさなければならない。ホンダのグループ会社への統合・売却動向はこのような背景のもと行われているとみられる。

ホンダとトヨタ

 ホンダとトヨタ自動車(トヨタ)の現況を比較してみよう。

 上記図は、トヨタとホンダの自動車生産台数を年度ごとにグラフにしたものだ。2021年度(2021年3月期)、新型コロナウイルス感染症が全世界に蔓延、その後半導体が供給不足になった。ホンダは影響を受け生産台数を減少させた。さらにその後は、中国のNEV政策によるEVの急激な増加に十分に対応できず、中国市場での生産は激減し現在に至っている。

 具体的には、ホンダの2019年度の自動車生産台数は約385万台であったのに対し、2025年度は約288万台と100万台近く生産台数が減少した。一方、トヨタは2019年度に約899万台であったが、半導体不足の影響や認証不正問題などで2021年には約755万台に減少したものの、2025年度は約905万台と2019年を上回る自動車を生産している。

 ちなみに、ホンダの二輪車生産台数は、インド市場での好調な業況に支えられ、2019年度1,313万台であったのに対し、2025年度が1,401万台と2019年を上回っている。ホンダの自動車事業に課題があることが分かる。

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