技術、製品
愛三工業 造粒蓄熱材でグリーン・サステイナブル・ケミストリー賞「奨励賞」を受賞 2025/6/30
愛三工業は、大阪ガスケミカルと共同で開発している「相変化物質の利用による熱制御を活用した固体吸着剤の高性能化技術の確立とその実用化」研究が、新科学技術推進協会より第24回グリーン・サステイナブル・ケミストリー賞(GSC)の奨励賞を受賞したと発表した。内燃機関自動車には燃料タンク内の燃料蒸発ガスを大気放出する際、キャニスタを使用して放出量を抑制するが、HEVではエンジン作動時間が短く燃料蒸発ガスの脱離時間が十分確保できないことや、エンジン廃熱を十分に活用できずキャニスタ内の活性炭脱離効率が低下する課題があった。研究では、吸着・脱離時の熱変化を緩和する造粒蓄熱材を開発。この造粒蓄熱材を活性炭と混合することで、脱離時のキャニスタ内の温度低下を抑制し、短いエンジン作動時間でも十分に脱離効率を確保することができるようになった。愛三工業は、今後もさらに技術開発を進め、世界市場への展開を図っていくとしている。

ニッパツ IHIに超高回転型モータを納入開始 2025/6/30
日本発条(ニッパツ)は、開発した高回転モータのIHIへの納入を開始したと発表した。IHIが開発したスーパースポーツカー向け電動アシストターボチャージャーの基幹部品として搭載される。開発したモータは、一般的な車両駆動モータと比較して小型であるが、数倍の最高回転数を達成している。また、モータ駆動だけでなく回生も行う。ニッパツは、電動化戦略としてモータコアや金属基板製品を戦略の中心としながら、電動車周辺分野の製品・技術の拡充を狙っていくとしている。

デンソー ダイオードとIGBT一体素子で全国発明表彰文部科学大臣賞、発明実施功績賞を受賞 2025/7/2
デンソーは、豊田中央研究所と共同で開発した「ダイオードとIGBTを一体化した超低損失な素子構造の発明」が、発明協会が主催する令和7年度全国発明表彰で「文部科学大臣賞」および「発明実施功績賞」を受賞したと発表した。インバータに搭載されているパワーガードは、従来高速スイッチングを行うIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)と整流化を行うダイオードの2つの素子から構成されているが、機能が異なるため一体化には課題があった。発明では一体型IGBTのバリア層とアノード電極を短絡させることで、両者をほぼ同電位にした。これによりダイオード動作時に表面アノードから導入される電荷量が抑制され、必要とされていたライフタイム制御を不要とし、ダイオードとIGBTの性能を両立させた。デンソーは、開発した製品を量産化、2022年以降累計100万台以上の電動車に採用されたとしている。
ニデック 全方位ユニットがホンダのUNI-ONEに採用 2025/7/2
ニデックは、子会社であるニデックドライブテクノロジーと本田技研工業が協働で開発した全方位駆動ユニットが、ホンダの新型ハンズフリーパーソナルモビリティ「UNI-ONE」に採用されたと発表した。ニデックが開発した「はすば歯車」による減速機が、UNI-ONEの全方位駆動ユニットの車輪機構に組み込まれた。ドライブシステムの外部に組み付けられたニデック製モータと共にUNI-ONEのスムーズな安定走行と静音性の実現に貢献しているとしている。

三洋化成 e-Axle向け耐摩耗・耐焼き付きポリマー添加剤を開発 2025/7/2
三洋化成は、e-Axle向け耐摩耗・耐焼き付きポリマー添加剤「アクループNS-100」を開発したと発表した。エンジン車向け潤滑油向け年度特性向上添加剤「アクループ」で培ったポリマー技術を活用し、金属表面への吸着性を付与した添加剤設計により、2wt%の添加で従来eフルードと比較して最大約25%の耐焼き付き特性を改良することを確認した。また、リン化合物など他の添加物との併用で更なる耐摩耗性・耐焼き付き性の向上も期待できるとしている。アクループNS-100は、既に一部ユーザーでの採用が決定している。三洋化成は、電動化が進む各種モビリティや産業機械分野への展開も視野に入れて拡販を行っていくとしている。
新事業
NSK 世界最小けん玉を開発、販売を開始 2025/7/1
日本精工(NSK)は、グループ会社であるNSKマイクロプレシジョン(ISC)が、そろはむ社と共同で精密ベアリングを搭載した世界最小のけん玉「SG Kendama pico」を開発し、7月1日より販売を開始したと発表した。玉を含むけん玉の高さは31.9mm、重さは3.4gと極小であるが、けん玉の玉の部分に直径3mmの精密ベアリングを搭載することで、競技用けん玉と同様に紐のねじれを防ぐ構造となっている。ISCは、これまでもベアリングを使用した玩具を開発し、児童をはじめとした幅広い層に科学の面白さを提供している。今回のけん玉もその一環としている。

M&A、出資
ユニバンスなど SkyDrive社に出資 2025/7/4
ユニバンスは、空飛ぶクルマを開発しているスタートアップSkyDrive社に出資したと発表した。SkyDriveは、プレシリーズDラウンドとして総額83億円の第三者割当増資による資金調達を実施していた。今回の増資では三菱UFJ銀行がリード投資役となり、製造拠点を提供しているスズキ、JR東日本、JR九州のほか、自動車部品メーカーでは豊田鉄工、日本発条など11社が出資を行った。ユニバンスは、駆動系技術の知見を活用し、SkyDriveの空飛ぶクルマ開発で、軽量・高効率化に寄与すべく連携を行っていくとしている。
体制
武蔵精密 エネルギー事業組織体制を格上げ 2025/6/27
武蔵精密工業は、7月1日よりEnergy Solution事業を機能軸の組織管理体制に移行すると発表した。グループCEOが事業の最高責任者を兼務し、技術開発、マーケティング営業、管理、生産の各機能の部長を配置することで、意思決定と執行の迅速化を図る。また、エネルギー分野での戦略策定を目的に最高戦略責任者(CSTO)を新設し、蓄電池とエネマネ技術を電動車事業に展開を行い、シナジーの最大化を図るとしている。
矢崎総業 ジヤトコ掛川工場跡地に新工場設立 2025/6/30
矢崎総業は、2025年3月27日、静岡県掛川市のジヤトコ掛川工場跡地(96,000m2)を取得したと発表した。隣接する掛川ティーライフの施設も賃借し、電動化製品の生産能力強化を図る。矢崎総業では電動車向け高圧部品の生産を行っているが、従来の低圧部品に比べ大型化する傾向があり、より広い生産スペースが求められる。道路アクセスが良い取得地に200億円を投資して、高圧部品を生産する新工場を設置し、今後5年間で現在の約3倍の売上拡大を計画する。
デンソーなど 再生材利用拡大目的で協議会を設立 2025/6/30
デンソーは、東レ、野村総合研究所、本田技研工業、マテック、リバーと共同で、使用済み自動車(ELV)の自動精緻解体を起点とした再生材利用拡大を目指して、BlueRebirth(ブルーリバース)協議会を設立したと発表した。自動車産業では、持続可能な社会の実現に向けサーキュラーエコノミーへの転換が求められていて、再生材の利用拡大が課題となっている。環境省が主導して開催を行っている「自動車向け再生プラスチック市場構築のための産官学コンソーシアム」でも、再生材供給側産業「静脈産業」での高度選別技術およびコンパウンド技術の向上と、再生材需要側産業「動脈産業」の再生材利用率の向上をめざす姿としている。6社はこの動静脈が融合したバリューチェーン構築に向け、AIやセンサー、ロボット技術活用による自動精緻解体技術の開発や、関係企業・団体への提言などを行っていく。
ニュースウォッチ
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