水素、アンモニア、LOHC
JFEエンジ ケミカルルーピングによる電力・水素・CO2同時製造で実証 2025/6/27
JFEエンジニアリングは、大阪ガスと共同で推進しているケミカルルーピング燃焼技術開発が、NEDOの「CO2分離・回収型ポリジェネレーションシステム技術開発」の助成事業に採択されたと発表した。ケミカルルーピング燃焼技術は、バイオマスや半導体・化学製品製造の際に発生する有機廃液などを燃料にして、酸化鉄などの金属酸化物中の酸素を使って燃焼させる技術で、高純度のCO2を分離・回収できる。JFEエンジは、大阪ガスと一般財団法人カーボンフロンティア機構(JCOAL)が2022年度からNEDO委託として実施している事業の再委託先として、反応に用いる金属酸化物の選定や流動性の確認などの要素技術開発を担当した。また、300kW級装置の系統設計、機器・製作品の基本設計を実施している。今回の事業では、2027年度までに300kW級実証機を建設し、バイオマスや有機廃液から水素・電力・CO₂を同時製造する実証試験に取り組む。
合成燃料
カナデビア オマーンでメタネーションプラント建設Pre-FEED 2025/6/23
カナデビアは、オマーンのLNG事業会社オマーンLNG(OLNG)と、オマーンでの商業メタネーションプラント建設を視野に入れた概念検討およびパイロットプラント建設に関するPre-FEED契約を締結したと発表した。OLNGは、世界最大規模となる18,000Nm3/h(年産110,000トン)のe-メタン製造メタネーションプラント建設を目指している。今回のPre-FEEDでは、カナデビアが技術を保有する海水淡水化装置、水電解装置による水素、水素とCO2からe-メタン1,200Nm3/hを生産するメタネーションパイロットプラント装置から構成されるプロセスに関わるスケーリングや構成要素の確立、EPC費用の試算により技術・経済性検討を実施する。
東芝ESS、東芝 CO2電解装置の実証運転を完了 2025/6/24
東芝エネルギーシステムズおよび東芝は、工場などから排出されるCO2を電気分解しCOに変換するCO2電解技術の実証プロトタイプ機「C2One」の実証運転を完了したと発表した。従来技術では、CO2をCOに転換するには850℃以上の高温条件が必要で取り扱い及びコスト面で課題がある。東芝は人工光合成技術を用いて、CO2を気体状態のままCOに直接電解する三相界面制御触媒技術を開発し、100℃未満および0.2MPaという低圧条件、さらに水素も不要なCO2生成技術を開発してきた。また、CO2電解装置のセルスタックは、東芝ESSがこれまで製造してきた純水素燃料電池システム向けスタックと構造が類似していて、既存製造技術と製造ラインの一部を共用が可能だ。開発したC2Oneのプロトタイプは、年間250トンのCO2を処理でき、年間150トンのCOが生成可能としている。実証は、東芝ESSの浜川崎工場(神奈川県川崎市)に設置され、2024年11月に運転開始した後、動作安全性、CO生成能力、変動負荷運転などの実証を確認した。東芝グループは、実証の結果を踏まえ、同規模のC2Oneの早期社会実装を目指すとともに、更なる大規模化を目指した開発も進めるとしている。
日揮HD 伊丹市とSAF原料用使用済み食用油供給協定締結 2025/6/24
日揮HDは、兵庫県伊丹市とSAF原料となる使用済み食用油の資源化促進に関する連携および協力に関する協定を締結したと発表した。日揮HDが、レボインターナショナル、SAFFAIRE SKY Energy社と共同で行っている国産SAF製造の原料として使用される。伊丹市からは年間約29,000Lの廃食用油を見込んでいる。
北陸電力 石炭輸送船へのバイオ燃料B30による試験航行を実施 2025/6/27
北陸電力は商船三井と共同で、北陸電力向け石炭輸送船「ほくリンク(HOKULINK)」に、6月26日韓国でバイオ燃料B30の補油を行い、発電用石炭の積込のため豪州に向けて出港したと発表した。使用したバイオ燃料はICSS-EU認証を受け、廃食油などバイオマス由来燃料を30%混合したもので、航行時に発生するCO2排出量をおよそ3割削減する効果が期待されている。国内電力会社向け石炭輸送船でのバイオ燃料を用いた試験航行は国内初の取り組みとなる。
CO2回収、DAC、CCUS
中央可鍛工業 鋳造廃棄物でMOF製造 2025/6/16
中央可鍛工業は、名古屋大学発のスタートアップSyncMOFと共同で、自社工場の鋳造工程で発生する不要廃棄物を活用し、特定のガスを選択的に吸脱着するMOF(Metal Oraganic Frameworks)「Castreasure(キャストレジャー)」の合成に成功したと発表した。キャストレジャーは、市販薬品から合成されるMOFと同等以上の吸脱着性能が確認されていて、鋳造工程で発生するCO2を吸着・除去することで自社のカーボンニュートラルに貢献するとともに、CCUやDAC技術への適用についても期待がされる。中央可鍛工業は、今後形状加工や耐久性確認を行い、実用化に向けた開発を行っていくとしている。
運搬・貯蔵、燃焼、その他
IHI アンモニアガスタービン開発向け大型燃焼試験設備が完成 2025/6/23
IHIは、IHI相生工場(兵庫県相生市)に大型燃焼試験設備(LCT)を新設したと発表した。2024年にGE Vernova(GEV)と締結した共同開発契約に基づいて、GEVのF型ガスタービンの燃料を2030年までにアンモニア100%に転換するガスタービン燃焼器を開発するために設置した。2025年夏から燃焼試験が開始される。
体制
三井化学 中国フェノール製造子会社を譲渡 2025/6/24
三井化学は、中国の持分法適用会社である上海中石化三井化工(SSMC)の保有株式すべてを、中国石化上海高橋石油化工(高橋石化)に譲渡すると発表した。三井化学グループでは、ベーシック&グリーン・マテリアルズ事業(B&GM)について再構築に取り組んでいて、フェノール事業については、2023年にはシンガポールのフェノール事業展開子会社を譲渡、2025年10月末には市原工場の生産設備を停止することが決定している。中国でのフェノール事業を展開するSSMCについても、中国石油化工集団(SINOPEC)の子会社であり、SSMCの合弁パートナーである高橋石化に譲渡することを決定した。SSMCの2025年3月期の売上高は458億円、当期損失は106億円であった。
M&A、出資
pHydrogen 3億円の資金調達を実施 2025/6/23
海水の電解によるグリーン水素製造技術開発を行っている東京大学発のスタートアップpHydrogenは、シードラウンドで、インキュベイトファンドから3億円の資金調達を実施したと発表した。pHydrogenは東京大学真鍋教授が研究を進める低温型水電解システム研究のうち、中性・海水電解研究をベースにしたスピンオフ・スタートアップだ。中性領域の電解質開発、およびステンレス鋼を使用することで、海水による電極の腐食に耐え、貴金属の使用がないことから低コストで水電解を行うことができる。pHydrogenは今回の資金調達を活用し、出力数kW級の試験機を製作しコスト・性能検証を行うとしている。
NEDO採択事業
公募者 | テーマ名 | 実施予定先 | 事業期間 |
---|---|---|---|
NEDO 2025年6月23日 | カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/石炭ガス化燃料電池複合発電実証事業/CO2分離・回収型IGCCの調整能力の向上に資する技術開発/電力ネットワーク安定化のためのCO2分離・回収型IGCCの開発 | 大崎クールジェン株式会社 | 2025年度~2027年度 |
↑ | カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/石炭ガス化燃料電池複合発電実証事業/CO2分離・回収型IGCCの調整能力の向上に資する技術開発/システム拡張によるCO2分離・回収型IGCC付加価値向上技術開発 | 大崎クールジェン株式会社、株式会社日立製作所 | ↑ |
NEDO 2025年6月27日 | 競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業/需要地水素サプライチェーンの構築に係る技術開発/高圧水素パイプラインの国内基準化に向けた導管材料の水素適合性と耐震設計に関する研究開発 | 日本製鉄株式会社 | 最大3年間(2025年度~2027年度) |
NEDO 2025年6月27日 | 競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業/大規模水素サプライチェーンの構築に係る技術開発/大型液化水素貯槽用次世代鋼材の適用性評価に係る研究開発 | 国立大学法人東京大学 日本製鉄株式会社 株式会社神戸製鋼所 | 最大3年間(2025年度~2027年度) |
↑ | 競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業/需要地水素サプライチェーンの構築に係る技術開発/100年使用を目指した高圧水素パイプライン用樹脂製導管材料の水素適合性と耐震設計に関する研究開発 | 一般社団法人水素バリューチェーン推進協議会 国立大学法人九州大学 積水化学工業株式会社 タキロンシーアイシビル株式会社 株式会社クボタケミックス | ↑ |
↑ | 競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業/需要地水素サプライチェーンの構築に係る技術開発/国内水素パイプラインのグランドデザインに基づく既存インフラ活用による水素配管新技術の安全対策等に関する研究 | NTTアノードエナジー株式会社 エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社 東京都港湾局 | ↑ |
NEDO 2025年6月27日 | カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/次世代火力発電基盤技術開発/CO2分離・回収型ポリジェネレーションシステム技術開発/ケミカルルーピング燃焼ポリジェネレーション技術の実用化に向けた研究開発 | 大阪ガス株式会社、 JFEエンジニアリング株式会社 | 2025年度~2027年度 |
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