水素、アンモニア、LOHC
つばめBHB INPEX柏崎水素パークにアンモニア合成設備を納品 2025/12/16
つばめBHBは、INPEXが新潟県柏崎市で推進する「ブルー水素・アンモニア製造・利用一貫実証試験」(柏崎水素パーク)に、第一実業から受注したオンサイト型アンモニア合成設備(生産能力年間500トン)を納品したと発表した。つばめBHBにとって商用設備の第1号機となる。従来のハーバー・ボッシュ法プロセスに比べ低温低圧で操業が可能で、原料ガスの昇圧動力抑制や安全性に利点がある。つばめBHBは、国内で2基の受注が決定しているほか、ブラジル、アフリカ、インドでの導入協議が進んでいる。今後、年産500トンモデルに加え、年産5,000トンモデルの展開を予定するとしている。

三井物産、JERA アンモニア事業で価格差支援制度の認定を取得 2025/12/19
三井物産は、北海道電力、UBE三菱セメント、東ソーと共同で、政府の「価格差に着目した支援制度(価格差支援)」の認定を取得したと発表した。価格差支援は、資源エネルギー庁より、既存の原燃料の価格と低炭素水素等の価格差に着目した支援を15年間行う制度だ。三井物産が出資参画する米国ルイジアナ州での低炭素アンモニア製造事業Blue Pointより、生産量の一部を三井物産が引き取り価格差支援を受ける。三井物産は、低炭素アンモニアを利用事業者である北海道電力、UBE三菱セメント、東ソーに年間28万トン供給する。三井物産は、日本で商業運用される低炭素アンモニア大規模輸入プロジェクトの早期社会実装を目指すとしている。
また、JERAも同様にBlue Pointで製造される低炭素アンモニアをJERA碧南火力発電所での燃料アンモニア転換等で使用する計画に対し、価格差支援制度の認定を取得した。
CO2回収、DAC、CCUS
JAPEX 苫小牧CCSで試掘に伴う開抗式を開催 2025/12/16
石油資源開発(JAPEX)は、苫小牧エリアでのCCS事業の一環として、特定地域でのCO2貯留に適した地層の存在確認を目的とした試掘第1号井の開抗式を開催したと発表した。試掘では、掘削リグを使用し計2本の試掘井を掘削する。試掘結果などを踏まえ2026年度内に最終投資判断を行う予定としている。
日鉄エンジ 液化CO2タンクの大型化技術を確立 2025/12/18
日鉄エンジニアリングは、液化CO2球形タンクの大容量化技術を確立したと発表した。日本CCS調査がNEDOより受託した「CO2船舶輸送に関する技術開発および実証試験」のうち、日鉄エンジは「液化CO2大量貯蔵システムに関する技術開発」の再委託を受け、2023年度まで技術開発を行い、その後実用化検討を継続していた。従来の液化CO2球形タンクは、液化CO2を温度-20℃、圧力2.0MPaに設定していることから貯蔵容量が850トンレベルの小規模なものにとどまっていた。開発したタンク技術は、液化CO2の温度を-50℃、圧力を0.7MPaと低温・低圧化を図り、製作面では低温靭性優れた60kg級炭素鋼の溶接技術確立に取り組んだ。これらの技術開発により、年間100万トン規模の液化CO2船舶輸送を可能となったとしている。
運搬・貯蔵、燃焼、その他
豊田自動織機 アンモニア単一燃料エンジンを開発 2025/12/17
豊田自動織機は、アンモニアを単一燃料とするエンジンを開発したと発表した。成果をもとにデンヨー製発電機への搭載に向け共同開発に着手する。豊田自動織機は、10年ほど前から触媒によりアンモニアを分解し水素を取り出し燃料補助剤として活用することで、アンモニアの燃焼性を改良する技術開発を行ってきた。共同開発する発電機向けアンモニアエンジンは、豊田自動織機製ガスエンジンをベースに改良したもので、発電機利用に適した性能や信頼性開発を行った上で、デンヨー製発電機にアンモニアエンジンを搭載し、適合性などの検証を進める。両社は2027年度中の実証開始を目指すとしている。

川崎汽船 液化CO2船をお披露目 2025/12/18
川崎汽船は、2025年12月16日17日の2日間、横浜大さん橋国際客船ターミナルで、Northern Lights社向け新造液化CO2船「NORTHERN PHOENIX」のお披露目見学会を行ったと発表した。ノルウェー北海海底下2,600mの貯留層へのCCSプロジェクトLongshipのうち、輸送・貯留に係るNorthern Lightsで使用される。同プロジェクトでのCO2輸送船としては3隻目となり、川崎汽船の英国子会社K LINE Energy Shippingが船舶管理を行う。

日立造船マリン アンモニア焚き舶用エンジンの設備投資を決定 2025/12/19
カナデビアは、連結子会社で今治造船との合弁会社である日立造船マリンエンジン(HZME)が、本社工場にアンモニアを燃料とした舶用エンジンの生産設備を導入すると発表した。海事クラスターでは、船舶燃料がGHG排出量の少ないLNGやメタノール、アンモニアへ転換する技術開発が進んでいる。これまでHZMEは、LNGおよびメタノール焚きエンジンの生産に向けた設備投資を行ってきた。今回、2030年以降の就航船で普及が見込まれるアンモニア焚きエンジン設備の製造に備えた設備投資を行う。HZMEは、ドイツのEverllenceおよびスイスのWinGDのライセンス受容社であり、今回導入するアンモニア燃料供給装置は両ライセンサーの基本設計に適合する。燃料供給装置以外にアンモニア受入設備や貯蔵装置などを導入し、2028年度中の運転開始を目指す。
体制
出光、三井化学 千葉地区エチレン装置集約で最終合意 2025/12/19
需要出光興産と三井化学は、千葉地区のエチレン装置集約による生産最適化についてFEEDを推進した結果、2027年7月に出光千葉事業所での定期修理終了後、出光のエチレン装置を停止し三井化学の装置に集約すると発表した。両社は、2010年に生産最適化を目的として千葉ケミカル製造LLP(CCM)を設立し、エチレン装置の運営を行ってきた。集約後は両社が原料をCCMに供給し、CCMが三井のエチレン装置を共同で運営する。現在の千葉でのエチレン生産能力は、年間92万トン(出光37万トン、三井55万トン)で、出光の装置を停止することで、生産量は約4割減少する。
プラスチック
豊田通商 プラニックの再生プラがトヨタの新型RAC4に採用 2025/12/17
豊田通商は、グループ会社であるプラニックが製造した自動車破砕残さ(ASR)由来の再生プラスチックコンパウンドが、トヨタの新型RAV4のアンダーカバーに採用されたと発表した。ASR由来再生粉コンパウンドペレットが、トヨタ車の単一部品に使用されるのは初の事例となる。豊田通商およびプラニックは、ASR由来プラスチックの活用によるCar to Carリサイクルの推進を通じ、循環社会と自動車産業の持続的な発展に貢献していくとしている。

三菱ケミカル ホンダのEV N-ONEe:にバイオエンプラが採用 2025/12/17
三菱ケミカルは、ホンダが9月12日に発売した軽EV「N-ONEe:」のインパネに、植物由来のバイオエンプラ「DURABIO」が採用されたと発表した。DURABIOは、植物由来のイソソルバイドが主原料のバイオエンジニアリングプラスチックで、従来のポリカーボネート樹脂と比較し、高い透明性、優れた光学特性などのほか、耐候性や耐久性にも優れている。三菱ケミカルは、これからもDURABIOの展開を図っていくとしている。

M&A、出資
CRRA 1億円の資金調達を実施 2025/12/15
炭素回収技術研究機構(CRRA)は、東海理化を含む70超の個人・法人投資家から、エクイティおよびデットファイナンスを組み合わせ、1億円超の資金調達を行ったと発表した。CRRAは、アミン修飾メソポーラスシリカCO2吸収材を活用したスーツケースサイズの小型DAC装置「ひやっしー」を開発している。今回の資金調達を通じて、CO2吸収剤「CXシリーズ」、および年間CO2回収量30トン台の産業用中型DACモジュール「ひやっしーパパ」の社会実装を加速させるとしている。
コスモHD S-Bridges社に出資 2025/12/19
コスモHDは、静岡大学発のスタートアップでバイオエタノール事業開発を行っているS-Bridges社(静岡県浜松市)に出資を行い、業務提携契約を締結したと発表した。S-Bridgesは、食品加工プロセスで廃棄される茶葉やコーヒー原料などからタンパク質、液肥原料などの成分を抽出する技術「CBシステム(Cell Braker)」を保有している。CBシステムでは、有効成分抽出過程でセルロース系繊維が副次物として生成される。コスモは、このセルロース系繊維を非可食由来のバイオエタノール原料として活用することに着目し、2025年9月よりS-Bridgesと共同研究を開始した。今後は、国内の食品・飲料工場への展開を通じ、安価なエタノール供給や資源循環などへの取り組みを行っていく。

出光 CDRプラットフォーム開発Carbonfuture社に出資 2025/12/19
出光興産は米国の100%子会社IAHを通じ、CO2除去(CDR)のデジタルプラットフォームを提供するCarbonfuture社(ドイツ・フランクフルト)に出資したと発表した。CDRの社会実装にあたっては、CO2の除去量が正確に測定・報告・検証(MRV)されることが必要である。Carbonfutureは、CO2除去量の測定からデータ管理、検証プロセスまでを一元管理するプラットフォームを提供している。出光は、今回の出資を通じてCarbonfutureのMRVプラットフォームを活用し、CDR市場開拓や共同プロジェクトの検討、政策面での連携などの協業機会の創出を目指すとしている。
統計
ニュースウォッチ
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