政策・規制、審議会
経産省 水素・アンモニアの社会実装に向けた当面の課題 2026/3/27
経済産業省は、総合資源エネルギー調査会の第16回水素・アンモニア政策小委員会を開催し、「社会実装に向けた当面取り組むべき課題」を提示した。
現状を、「水素等の関連市場は、一部のプロジェクトにキャンセルや遅れはあるものの、世界全体で見れば堅調に拡大。世界で2050年には30~40兆円規模になるとみられる関連機器等市場の成長を取り込むため、サプライチェーン全体で日本の製品が有する技術優位を商用化段階での勝機につなげることが重要」と認識している。
技術優位性を確保した上でビジネスでの勝ち筋として、水素アンモニア混焼/専焼タービン、水電解装置、液化水素関連機器、燃料電池の4製品を中心に、投資支援や重要創出・社会実装などの支援を行っていく。
当面の課題として、モビリティ分野を取り上げている。
燃料としての水素やアンモニアは、乗用車はガソリン代替、商用車は軽油代替で、これらの燃料より価格の安い天然ガスや石炭を燃料として使用する発電や化学、製鉄分野に比較して燃料の代替がしやすいと考えられるからだ。
燃料電池商用車の普及のためには、①高い車両価格、②水素ステーションの大型化、③水素充填を考慮した車両の運行管理などの課題への対応が必要であり、これまでの支援に加え、①に対しては、商用車等の電動化促進事業での年度跨ぎ事業の追加措置。②に対しては、整備費や運営費の補助率の向上、また、商用車の枠組みにFCタクシーを追加することなど行う。
しかしながら、車両やインフラに対しての需要見通しが不透明な中では、車両の量産や増産に向けた投資判断ができないことや水素販売価格の見通しが立たないことなどが課題として挙げられた。
水素、アンモニア、LOHC
IHI 北海度苫小牧地域でのアンモニア供給拠点設備で政府より支援認定 2026/3/27
IHIは、北海道電力、三井物産、苫小牧埠頭と共同で、水素社会推進法に基づく「拠点整備支援制度」に申請し、経済産業大臣および国土交通大臣の認定を受けたと発表した。4社は、2030年度までに北海道苫小牧地域に低炭素アンモニアを供給可能な拠点の構築を目指す。計画では三井物産が調達する年間28万トンの低炭素アンモニアを、低炭素水素等利用事業者が燃料または原料用途として利用することで、環境負荷低減を目指すとしている。
リケンNPR 新潟県2例目の水素ステーションを開所 2026/3/27
リケンNPRは、2026年3月25日、新潟県柏崎市に県内で2例目となる水素ステーションを開所したと発表した。リケンNPRは、次世代エネルギーの普及促進に注力していて、今回の水素ステーションの稼働により、FCVの普及を後押しし、水素エンジン車などの多様な次世代モビリティの活用も視野に入れた供給拠点として、環境負荷低減に寄与していくとしている。
合成燃料、バイオ燃料
大阪ガス カーボンオフセット都市ガスを商用施設で利用 2026/3/23
大阪ガスはグループ会社Daigasエナジーおよび三井不動産と共同で、三井ショッピングパーク ららぽーとEXPOCITYで、米国産バイオメタンの環境価値証明書を付与したカーボンオフセット都市ガスを利用することに合意したと発表した。大阪ガスは、2026年1月より、bpグループのArchaea Energyが米国で生産したバイオメタンを泉北製造所に受け入れを開始している。今回の合意では、このバイオメタンの環境価値を利用する。
東邦ガス 地域CO2循環型e-メタン供給で実証 2026/3/24
東邦ガスは、アイシン、デンソーと共同で、「地域CO2循環型e-メタン供給」の共同実証を開始したと発表した。地域CO2循環は、CO2の排出者と、その排出したCO2を原料に製造されたe-メタンの利用者が同一であり、e-メタン利用時にCO2排出ゼロと評価できるエネルギーとして環境価値の確保が期待される。3社は、2022年から地域CO2循環に関する検討を進めてきた。アイシン西尾ダイカスト工場(愛知県西尾市)およびデンソー安城製作所(愛知県安城市)で、都市ガス機器の排ガスから分離・回収したCO2をガス容器に充填し、東邦ガス知多e-メタン製造実証設備(愛知県知多市)へ陸送する。e-メタン製造設備で、陸送されたCO2を原料としてe-メタンを製造し、都市ガス導管網を通じてアイシン・デンソー両社へ供給する。実証では、トレサビリティ確保などの課題を検証する。3社は今後も地域CO2循環の社会実装に向けた取り組みを共同で推進していくとしている。

東京ガス 海外産バイオメタンを原料とした都市ガスを供給へ 2026/3/25
東京ガスおよびグループ会社東京ガスエンジニアリングソリューションズは、アサヒグループジャパン、積水ハウス、日立製作所と共同で、海外産バイオメタンを原料とした都市ガスを2026年より供給することに合意したと発表した。今回、米国から輸入したバイオメタンを活用するが、今後は米国以外の地域からの輸入も検討するとしている。
日揮 練馬区と廃食用油の資源化促進で連携 2026/3/25
日揮HDは、レボインターナショナル、SAFFAIRE SKY ENERGYと共同で、東京都練馬区と、SAF等の原料となる廃食用油の資源化促進に係る連結及び協力に関する協定を締結したと発表した。練馬区は、平成20年6月から区立施設46か所で、家庭から排出される使用済み食用油を回収している。今回の協定締結を通じて、令和8年4月からは常設回収場所を増設し、練馬区が回収する廃食用油全量をSAFの原料とすることとなった。
JFEエンジ 富山大学と共同でSAF製造新触媒を開発 2026/3/27
JFEエンジニアリングは、富山大学と共同で、SAF製造可能なFT(フィッシャー・トロプッシュ)合成用新触媒を開発したと発表した。開発した触媒は、富山大学学術研究部工学系の椿範立教授が開発した触媒を基に、SAFに適した液体炭化水素収率が50%以上となる性能を持つ。従来の触媒ではSAF収率が25%程度であった。開発した触媒を使用したFT合成プロセスでは、水素化分解プラントおよび新規水素投入が不要になり、整備コストの大幅な低減が見込まれるほか、SAFを従来比2倍以上の収率で製造することが可能となる。現在は、廃食用油等を処理したHEFA(水素化処理エステル・脂肪酸)によるSAF製造が主流であるが、原料供給面での制限があり、長期的には合成燃料によるSAF製造が必要となる。JFEエンジは、新触媒によるSAF合成プロセスの開発を継続するとともに、SAFの普及拡大に貢献していくとしている。

CO2回収、DAC、CCUS
大陽日酸 石灰焼成炉排ガスからCO2回収を実証 2026/3/25
大陽日酸は、上田石灰製造の昼飯工場にある宇部ベッケンバッハ式竪型焼成炉から排出される排ガスに含まれるCO2を回収する実証試験を実施したと発表した。石灰石を高温で焼成する石灰焼成炉は、大量のCO2を排出するプロセスで、CO2排出量の削減が産業分野の脱炭素化に向けた課題となっている。今回の実証試験では、ベッケンバッハ炉の排ガスの一部をCO2回収装置に導入し、CO2回収技術の性能検証および運転条件の最適化を行った。その結果、98%以上のCO2を一定流量で安定的に回収できることを確認した。大陽日酸は今後、実装置導入に向けた検討・展開を本格的に推進していくとしている。
東ソー 開発CO2回収アミンが市村地球環境産業賞で「貢献賞」を受賞 2026/3/26
東ソーは、開発した「カーボンニュートラルに資する高耐久性CO2回収アミン」技術が、市村清新技術財団が主催する「第58回市村賞 市村地球環境産業賞」において「貢献賞」を受賞したと発表した。開発したNOx高耐久性CO2回収アミン「RZETA」は、NOxによる分解が発生しなしため、燃焼実排ガスによるCO2回収ベンチ設備で120日間の連続運転でも、CO2回収率90%以上を維持する。RZETAの量産体制は確立していて、現在実証プラントで性能を評価している。東ソーは、今回の市村地球環境産業賞の受賞を励みとし、引き続き研究開発を進めていくとしている。
運搬・貯蔵、燃焼、その他
IHI JERA碧南火力発電所向け燃料アンモニア設備の建設工事を推進 20726/3/26
IHIはグループ会社であるIHIプラントが、大成建設、中部プラントサービスと共同で、JERAよりJERA碧南火力発電所でのアンモニア燃焼の商用運転開始に向けた、燃料アンモニア貯蔵タンク4基(容量計16万トン)および付帯設備一式のEPCを受注し、建設を進めていると発表した。JERAは、碧南火力発電所でのアンモニア大規模燃焼(熱量比20%)の商用運転を、2029年度を目標に計画を推進している。
川崎重工 大型商船向け水素燃料エンジンの水素燃料運転を開始 2026/3/27
川崎重工は、ジャパンエンジンコーポレーションと共同で取り組んでいる、NEDO GI基金事業「舶用水素エンジン、MHFS(舶用水素燃料タンクおよび燃料供給システム)の開発」で、開発エンジンに水素燃料混焼による運転を開始したと発表した。ジャパンエンジンが開発した大型低速2ストロークエンジンの初号機で全筒水素燃料混焼運転を開始し、現状100%負荷で水素混焼率95%以上に達した。実際の船舶に搭載するエンジンは6UEC35LSGHで、フルスケールエンジンの各種検証試験を実施した上で、2027年1月に出荷し、尾道造船が実証船として建造する1万7,500重量トン型水素燃料多目的船の主機として搭載される予定となっている。
岩谷産業 低炭素水素を利用してタンク解体 2026/3/27
岩谷産業は、福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)で製造したクリーン水素を原料とした溶断ガス「ハイドロカット」を、福島第一原子力発電所構内の溶接型タンク解体工事向けに供給を開始すると発表した。ハイドロカットは、エチレンと水素の混合ガスで、従来金属溶断作業用に使用されていたアセチレンやLPGと比較して、CO2排出量の削減、逆火や爆発リスクが低いという安全性、切断面のスス汚れが少ないなどの作業性に優れている。FH2Rでは、太陽光発電による再生可能エネルギーを活用し、水電解装置で水素を製造していて、今回の適用では水素の地産地消利用と製造工程段階からの脱炭素化に貢献する。
体制
リファインバース POリサイクル事業を開始へ 2026/3/2
リファインバース(RV)は、これまで取り組んできた廃プラスチック原料供給事業の展開として、2026年7月よりPOリサイクル事業を立ち上げると発表した。リファインバースイノベーションセンター(RIVIC)内にポリオレフィン(PO)原料製造ラインを新設する。新設製造ラインでは、廃棄物の選別を実施後、マテリアルリサイクル、またはケミカルリサイクルどちらの用途でも対応できる原料として再生する。2028年6月期の売上高10億円規模の事業化を目指すとしている。
日本ポリケム インドでPPコンパウンド生産能力増強 2026/3/26
日本ポリケムは、インドの自動車市場の伸長を背景に、インドの子会社マイテックスポリマー社のポリプロピレン(PP)コンパウンド生産能力を、現在の年間2万5,000トンから3万2,000トンに増強すると発表した。生産設備の完工は2027年の半ばを予定する。
M&A、出資
関西電力 水素ファンドに出資 2026/3/27
関西電力は、アドバンテッジパートナーズおよびその関係会社(APグループ)がサービスを提供する水素関連分野の投資に特化したファンド「Japan Hydrogen Fund」に出資したと発表した。関西電力は、出資を通じて、水素事業推進に資する製造技術やコスト構造、グローバル動向等に関する情報、知見の獲得を強化するとともに、姫路エリアでの大規模水素サプライチェーン構築、および関西電力の水素事業の推進・拡大進めていくとしている。
統計
ニュースウォッチ
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- ENEOS、和歌山のSAF拠点化構想へ協議2026/3/27
- カナデビア・イノバ、米でバイオメタン設備を建設 2026/3/27