合成燃料
出光 カーボンオフセット軽油B5の供給を開始 2025/7/1
出光興産は、関東天然瓦斯開発と共同で、宮城県栗原市で推進する地熱発電調査「栗駒南麓プロジェクト」で使用される掘削機械の燃料として、軽油に廃食油などを原料としたバイオディーゼルを5%混合した「出光カーボンオフセットfuel B5軽油(ICOF B5)」を供給すると発表した。排出されるCO2の95%分がオフセットされる。
コスモ石油 大阪府吹田市のSSでSAF原料としての廃食用油回収を開始 2025/7/1
コスモ石油は、日揮HD、レボインターナショナルと共同で、大阪府吹田市のコスモのサービスステーション(SS)5拠点に、家庭から出る廃食用油を回収する専用ボックスを設置し、SAF原料を目的とした市民回収を開始したと発表した。回収ボックスに集まった廃食用油はレボインターナショナルが収集し、SAFFAIRE SKY ENERGYのプラントで国産SAFの原料として資源化される。
東洋エンジ 回収CO2からのメタノール合成実証プラントで生成を開始 2025/7/1
東洋エンジニアリングは、子会社であるToyo-Indiaが提携を行っているインド国営電力公社NTPC社のメタノール実証プラントで、6月3日、NTPC社の工場で回収したCO2と水の電気分解による水素から合成されたメタノールのファーストドロップを生成したと発表した。両社は2021年にメタノール生成技術供与について契約を締結、その後インド・マディアプラデーシュ州にあるNTPC社の火力発電所内に、東洋エンジが保有するメタノール合成技術g-Methanolをベースに、Toyo-Indiaが基本設計と一部機器の調達を行い、JACKSONがEPCを行った。実証プラントは、1日あたり10トンのメタノール生産能力を保有する。
また、東洋エンジはNPTCグループとインド・アンドラプラデーシュ州で、e-メタノールのバリューチェーン構築FSを実施するとしている。
東洋エンジ 小規模グリーンメタノール製造用反応器を開発 2025/7/2
東洋エンジニアリングは、小規模グリーンメタノール(バイオメタノールおよびe-メタノール)製造に適した反応器MRF-Z Neoを開発したと発表した。大規模プラント向けメタノール合成技術MRF-Zをベースに、1日あたり数10トンから数百トン規模の小規模プラント向けに、段階的冷却による反応効率の向上と触媒使用量の最小化、外側から軸方向ヘのガス流による低圧力損失、機械設計の工夫による安定運転性とメンテナンス性の向上を図った。従来のMRF-Zを小型化した場合に比べ最大40%のコスト削減を達成するとしている。東洋エンジは、MRF-Z Neo単体だけでなく、e-メタノール製造技術g-Methanolや省エネ型蒸溜システムSUPERHIDIC、DXとの組み合わせにより、トータルソリューションを提供していくとしている。

CO2回収、DAC、CCUS
INPEX 豪州ボナパルトCCSが豪州政府の重要プロジェクトに認定 2025/7/3
INPEXは子会社のINPEX Browse E&Pを通じて、2022年オーストラリア北部準州ダーウィン沖合に位置するボナパルト堆積盆地の鉱区で、豪州トタルエナジーCCS、ウッドサイト・エナジーを含むボナパルトCCS共同事業体によるCCSプロジェクトが、オーストラリア政府より重要プロジェクトの認定を受けたと発表した。事業では2024年に実施した評価作業により、該当鉱区に塩水帯水層貯留層および炭素貯留に適した厚い遮へい層が確認されている。INPEXは、事業が世界最大級のCCSプロジェクトとなる可能性があり、豪州北部およびアジア太平洋地域の脱炭素化に大きく貢献できると考えているとしている。事業は、2025年4月に概念設計を開始していて、2030年頃にCO2圧入開始を予定する。
運搬・貯蔵、燃焼、その他
三菱造船 液化CO2、メタノール兼用輸送船の基本設計承認を取得 2025/6/30
三菱造船は、商船三井と共同で開発している液化CO2・メタノール兼用輸送船について、概念設計を実施し、日本海事協会から基本設計承認(AiP)を取得したと発表した。兼用船でのAiP取得は世界初となる。AiPを取得した船は、低圧仕様の液化CO2輸送船をベースに、往路で原料のCO2、復路で合成メタノールの輸送を目指す。それぞれに専用船を用いた場合、片航路は空荷での運航になるが、兼用化により輸送効率が高まることが期待される。

三菱重工系 水素混焼可能なガスコージェネレーションシステムの販売を開始2025/7/4
三菱重工エンジン&ターボチャージャー(MHIET)は、東邦ガスと共同開発した、体積比で最大15%の水素混焼が可能な450kWガスコージェネレーションシステムSGP M450の発売を開始すると発表した。都市ガス専焼ガスエンジンGS6R2をベースに、燃料ガス系統やエンジン制御装置を改良し、水素混焼エンジンを開発した。東邦ガスの技術研究所で500時間以上に及ぶ実証試験を行い、水素混合時の信頼性やCO2削減効果を確認したとしている。
プラスチック
三井化学 廃プラ分解油生成技術開発がNEDO開発プログラムに採択 2025/7/2
三井化学は、開発を進めている「廃プラスチック熱分解油の生成技術」がNEDOの実用化開発プログラムに採択されたと発表した。異種混合・複合のプラスチックが含まれている廃プラから不純物を除去する方法として、水素化精製があるが、高温・高圧条件下での運転となるため多量のエネルギーを必要としていた。開発している生成技術は、熱分解条件の最適化、化学処理を活用し常温・常圧で運転するもので、従来方法と比較して約70%のエネルギーを低減できると期待される。この技術開発を実用化することで、従来サーマルリサイクルに回されていた異種混合・複合の廃プラも油化ケミカルリサイクルの原料として活用が可能となり、生成油を再びプラスチックに転換する「油化ケミカルリサイクル」を行うことができるようになるとしている。

ENEOS、三菱ケミカル プラスチック油化向けケミカルリサイクル設備を竣工 2025/7/3
ENEOSと三菱ケミカルは、2021年7月から三菱ケミカル茨城事業所で建設を進めていたケミカルリサイクル設備が完成し、2025年7月2日に竣工式を行ったと発表した。設備では、使用済みプラスチックをイギリスのムラ・テクノロジー社の超臨界水熱分解技術で科学的に分解し、油化する。生成されたリサイクル油は、ENEOSと三菱ケミカルの石油精製装置およびナフサクラッカーの原料として使用され、再度石油製品や化学品・プラスチックに製品化することで、サーキュラーエコノミーを実現する。

M&A、出資
三菱ガス化学 Glod Hydrogen社に出資 2025/7/3
三菱ガス化学は、オーストラリアで天然水素およびヘリウムの開発を行っているGold Hydrogen社に出資を行うと発表した。Gold Hydrogen社は、豪州南オーストラリア州の地下に天然水素とヘリウム資源があることを発見し、商業採掘を目指したプロジェクトを推進している。三菱ガス化学は、出資を通じ、将来の天然水素およびヘリウム開発事業の商業化を目指すプロジェクトへの直接参画についても検討を行っていくとしている。
ニュースウォッチ
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