プラスチック関連動向 2024.4.19
プラスチック関連動向 2024.4.19

プラスチック関連動向 2024.4.19

研究

神戸大学 強靭性を備えた次世代型ポリ乳酸の生産に成功      2024.4.10

 神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科の田口精一特命教授は、産総研およびカネカと共同で、強靭性と生分解性を両立する次世代型ポリ乳酸の開発に成功したと発表した。これまで研究グループは、遺伝子組換え大腸菌により乳酸(LA)と3-ヒドロキシブタン酸(HB)の共重合体(LAHB)の合成に世界で初めて成功している。しかし、大腸菌を使用したLAHBの製造は生産性が低かった。生分解性プラスチックで実績のあるカネカと共同し、水素細菌に注目。再生可能な糖原料から27g/Lと、過去データの10倍の生産量となるLAHBを生産することに成功した。

プラスチック、原料

日本ゼオン 米Visolis社とバイオイソプレンモノマー事業でMoUを締結        2024.4.9

 日本ゼオンは、米国のバイオスタートアップVisolis社と、バイオイソプレンモノマーおよびSAFなどの商業化に関するMoUを締結したと発表した。バイオイソプレンモノマーは、バイオイソプレンゴム(IR)やバイオスチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、SAFなどの原料となる。日本ゼオンは2023年2月にCVCを通じてVisolis社に出資し、同社の技術で合成したモノマーを使用してバイオSISを合成している。両社は、今後バイオイソプレンモノマーおよびSAFなどの商業化のFSを行い、靴やタイヤなどの評価用サンプルを行っていくとしている。

東レ 海洋生分解性マイクロプラスチックビーズを開発         2024.4.10

 東レは、海洋生分解性をもつ真球状のポリアミド4微粒子を開発したと発表した。ファンデーションやアイシャドウに使用される真球状のポリアミド12マイクロプラスチックビーズは、海洋に排出され海洋汚染の原因となっていて、世界各国で規制が強化されている。欧州ではREACH規則の改正で、2035年には5mm以下の合成ポリマー微粒子の使用が全面的に禁止となる。東レは、生分解性を有するポリアミド4の開発を進め、微粒子化、真球化に成功した。今後、化粧品原料としてサンプル提供と評価を行い、2024年度末の発売を目標に開発を進めるとしている。

三洋化成 エコニック社とCO2ポリオール製造事業開発で協業         2024.4.15

 三洋化成は、英国ロンドンに本社を置くCO2からポリマーを製造する触媒及びプロセスを開発しているエコニック社と覚書を締結したと発表した。CO2ポリオールを使用した製品開発やCO2利用技術の活用を推進する。エコニック社は現在オックスフォード大学のシャーロット ウィリアムズ教授によって2011年に設立されたスタートアップだ。ウィリアムズ教授はポリオール中に石油ベースの原材料の最大50%をCO2に置き換える触媒システムを開発した。2018年には政府の補助のもとパイロットプラントで実証を行い、世界各地で技術提携を行っている。三洋化成は今後エコニック社の技術による事業化を目指して評価を進めると共に、CO2ポリオールをポリウレタン以外への活用も検討していくとしている。

適用

カネカ 生分解性バイオポリマー製リユース可能容器がJAL国際線に採用        2024.4.11

 カネカは、JALUXと共同でカネカ製生分解性バイオポリマーGreen Planetを用いたリユース可能な食品容器を開発し、JAL国際線で提供される機内食の副菜容器に6月から採用されることになったと発表した。JALグループは、新規石油由来製品の全廃実現を目標に、リユース容器の採用を始め環境負荷の低減を目指すとしている。

住友化学 ケミカルリサイクル アクリル樹脂がジュエリーに適用         2024.4.12

 住友化学は、ケミカルリサイクルによる再生100%アクリル樹脂が、スタージュエリー社の新作コレクション アクリルジュエリー向けに採用されたと発表した。住友化学は愛媛工場に設置したケミカルリサイクル実証設備で製造された再生アクリル樹脂(PMMA)を登録商標「スミペックスMeguri」として展開している。再生100%アクリル素材がジュエリーに採用されるのは国内初となる。

カネカ 生分解性バイオポリマー製発泡成形品がソニーのテレビ用緩衝材に採用 2024.4.18

 カネカは、生分解性バイオポリマー Green Planetを使用した発泡成形品が、ソニーの大型テレビブラビア用の緩衝材として採用されたと発表した。ソニーの包装設計技術とカネカの材料成型技術を用いて検証を重ね、強度や耐久性を確認した。今夏に発売される85インチ ブラビアに使用される。

リサイクル

レゾナック 川崎市と海洋プラゴミのリサイクル実証実験を開始         2024.4.9

 レゾナックは、川崎市と共同して、川崎港の海面清掃で回収した海洋プラスチックごみを、川崎事業所のKPRでケミカルリサイクルを行う実証実験を開始すると発表した。川崎市は、清掃船を使用して川崎港内のごみなどを回収し、分別処理をしている。また、2022年4月から「かわさきプラスチック循環プロジェクト」を設立し、プラスチック資源の循環に向けて取り組んでいる。レゾナックは、2024年4月から2025年3月まで川崎港で回収した海洋プラゴミについて、リサイクルおよび評価検証を行うとしている。

M&A・出資

UBE 廃漁網再生開発スタートアップに出資    2024.4.4

 UBEは、廃漁網のアップサイクル製品の開発を行うスタートアップamuに出資を行ったと発表した。宮城県気仙沼市に本拠があるamuは2023年5月に設立した、全国で漁具の回収およびナイロン素材ブランドamucaの提供を行うスタートアップだ。2028年までに1,000トンの廃漁網などを回収し、ペレット、繊維、生地などの形態でナイロン素材の提供を行うことを目指している。UBEは、amuのシードラウンドでの7,500万円の資金調達に、ANRI、ANOBAKA、七十七銀行、日本政策金融公庫と共に出資した。

体制

三井化学 市原工場のフェノール生産停止へ     2024.4.4

 三井化学は、千葉県市原市にある市原工場のフェノールプラントを2026年度までに停止すると発表した。三井化学は、千葉県市原市、大阪府高石市、中国上海市の3拠点でフェノールを生産しているが、中国などアジアでの新たな設備の稼働が続き、フェノール市場は供給過多の状況が続いている。国内市場の縮小もあり、市原工場での生産維持のための収益確保が困難と判断した。市原工場でのフェノール生産は1970年に開始し、年産19万トンの生産能力を保有している。

藤森工業 子会社のフジモリプラケミカルを吸収合併         2024.4.11

 包装資材製造メーカーの藤森工業は、グループ会社でパッケージフィルムグラビア印刷やラミネートフィルム加工を手掛けるフジモリポリケミカルを吸収合併すると発表した。事業ポートフォリオの最適化を目的として、7月1日を効力発生日として予定するとしている。

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