ヴィーガンレザートレンド 変わり種素材
ヴィーガンレザートレンド 変わり種素材

ヴィーガンレザートレンド 変わり種素材

前回、ヴィーガンレザーのトレンドとして菌糸体レザーを取り上げたが、天然皮革代替材料として意外な素材を使用したものがある。ここではインドに本拠を置くMalaiと米国のModern Meadowを紹介する。

関連資料:「ヴィーガンレザートレンド2023

Malai

インド南部ケララ州のコチに本拠を置くMalai Biomaterials Design(マライ)は意外なものから天然皮革代替レザーを作成している。

マライはスロバキア出身の研究者Zuzana Gombasovaとインドで機械工学を専攻したSusmith Suseelanによって立ち上げられた。Zuzanaはスロバキアの高校を卒業後、チェコでテキスタイルデザインを学び、トルコに渡ってデザインの仕事を従事した後、イギリス・ロンドンの学校で修士課程に登録した。そこで、バイオテクノロジーに興味を持つ。

いろいろな生体材料を試したがバクテリアセルロースが最も扱いやすい材料として専門分野となった。その後、生体材料や関連プロセスのコンサルティングを行っている中、フィリピンでナタデココ(nata de coco)に出会う。

ナタデココはココナッツの果汁に酢酸菌の一種であるナタ菌(Acetobacter xylinum, Gluconacetobacter xylinum)を加えて発酵させゲル化状にしたフィリピン発祥の伝統食品である。日本では1993年にマスコミで取り上げられ大流行し、その後もデザートや菓子の材料として使用されている。

Zuzanaはインドに渡った後、地元のSusmithの協力を得て、ココナッツの実を収穫した後廃棄されていた大量のココナッツ水を集め、ナタデココの製法を用いて二週間ほどかけてバクテリアセルロースを培養し、バナナの繊維やガム、樹脂を混ぜてシート状の原反を作成した。乾燥後、柔軟性や表面の処理を行って天然皮革代替レザーを製作している。

バクテリアが生成するセルロースは繊維径50ミクロンから100ミクロンと極細で、三次元に絡み合った高密度でありながら、多量の水分を保持できる構造となっている。その感触は人の皮膚にも優しくマスクなどにも使用されていて、人工皮膚など生体への応用も研究されている。まさに本革の代替材料と言えるかもしれない。

Modern Meadow

Modern Meadowは、生物工学者Andras Forgacsと父親で物理学者のGabor Forgacsらによって創設された。ハンガリーで生まれ米国に渡ったAndras Forgacsは、バイオプリンディングを研究していた父親と、2011年に医薬品開発のためにヒトの組織モデルをバイオファブリケーション技術で作成する会社Organovoを共同で設立した。バイオファブリケーション技術を応用して動物を使わずに動物由来の製品を作ることができるのではないかと考えたAndrasは同じく2011年にModern Meadowを設立している。

当初の技術は、動物の皮膚などのコラーゲン産生細胞をメッシュの上に配置し培養することでコラーゲン層を作成し、皮革の原反として使用するというものであった。その後研究は続けられ、培養したコラーゲンを濃縮したのち、繊維状にし、束ねることでバイオファブリケート複合材料を作ることに成功した。

さらには培養コラーゲンをもとに熱可塑性の樹脂を作っている。これらの技術は培養たんぱく質(コラーゲン)とバイオベースのポリマーを混合した材料Bio-AlloyとテキスタイルにBio-Alloyを適用したレザー製品BioFacrica Bio-Texの基になっている。

動物の皮からできた天然皮革は動物性たんぱく質(コラーゲン)からできている。動物を殺傷するなどの残虐行為を避けるには、コラーゲンを工業的に培養して使用すれば代替材料ができる。これは、現在開発が進んでいる培養肉と同じ発想だ。天然皮革ではないかもしれないが天然皮革の代替材料と言うことができるだろう。

ナタ菌という細菌の力を利用してセルロース繊維を作るMalai。
コラーゲン産生細胞の培養によって人工的にコラーゲンを増殖させるModern Meadow。
対照的なアプローチでありながら同じ皮革代替材料としてヴィーガンレザーを生産しているのがとても興味深い。

関連資料:「ヴィーガンレザートレンド2023

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です