政策・規制、審議会
経産省 燃料アンモニア導入・拡大に向けた取組状況報告 2026/6/16
経済産業省は、2026年6月16日に開催された産業構造審議会で、GI基金事業のモニタリンク状況報告とともに、燃料アンモニア導入・拡大に向けた取組について、主に2026年に入ってから実施された関連小委員会での議論をまとめた状況報告を行った。
ここではアンモニア利用拡大に向けた道筋(案)、および燃料アンモニアサプライチェーンの構築プロジェクト研究開発・社会実装計画の変更プロジェクトについて取り上げる。
■アンモニア利用拡大に向けた道筋
燃料アンモニアの導入・拡大については、発電・船舶など利用面での拡大と、安価で安定的なサプライチェーンの構築の取り組みが必要であり、政府は多面的な支援を実施する。

・発電分野: 現在、政府は価格差・拠点整備支援、および長期脱炭素電源オークションでの支援を実施している。アンモニア・ボイラ、GTについては、石炭火力20%混焼(~1GW)の実証が終わり、インフラ整備を実施しているとともに、高混焼の大規模実証、100MW超級の大型ガスタービンの専焼開発が実施されていて、2030年前に商用展開を目指す。これに合わせ、アンモニア発電の発電開始を計画している。
・産業(製造業)分野: 数千トン級の自家発電については、専焼ガスタービンの開発・実証が進んでいる。インフラ整備を経て、2030年前半での商用展開を目指す。数万トン級の工業目についても開発が進んでいて、2030年前の商用運転を計画する。
・海運分野: アンモニア燃料船の開発が完了した。実証を経て、商用展開へ進む。
・モビリティ分野(主に商用FCV): 車両、インフラ、ユーザーそれぞれが、課題を抱える3すくみ状態となっていて、OEMの車両供給、ステーション事業者の商用車向けSS整備、荷主・物流事業者の需要の見える化取組が必要である。重点取組として、「水素大動脈構想」を通じて官民集中投資で社会実装を加速させる。
現状認識として、価格低減と需要創出が課題としている。
■変更プロジェクト
・アンモニア製造新触媒の開発・実証 事業中止: アンモニア製造コストの低減を目的とした3グループ競争での触媒開発を実施したが、社会実装に必要なワンパス転化率目標に達成できなかった。
・石炭ボイラにおけるアンモニア高混焼技術 一部中止: 50%以上の混焼実現に向け、IHI、三菱重工が開発、JERAが実証する事業だが、大幅な設備改造と、建設工事の長期化が判明し、建設中の大型アンモニア設備を高混焼実証試験に活用するよう変更。
これに伴い、GI基金事業での燃料アンモニアサプライチェーンの構築プロジェクトの総額は、698億円から325.6億円に変更する案を提案した。
水素、アンモニア、LOHC
ENEOS レストランシップへ水素供給 2026/6/15
ENEOSは、日本郵船、ヤンマーパワーソリューションと共同で、日本郵船グループが天王洲アイルを拠点に運営中のレストランシップ「LADY CRYSTAL」の後継船で、2027年に就航予定の水素燃料電池システムを搭載した新造レストランシップに、ENEOSが水素ステーションから水素を供給することになったと発表した。新造レストランシップは、トヨタの水素吸蔵モジュールを採用し、ヤンマーパワーソリューションが統合設計する。

INPEX 柏崎水素パークで水素発電開始 2026/6/17
INPEXは、新潟県柏崎市の「ブルー水素・アンモニア製造・利用一貫実証試験」の過程で得られる水素により発電した電力を、6月17日より柏崎あい・あーるエナジーへ供給を開始したと発表した。原料ガスは、INPEXの南長岡ガス田(新潟県長岡市)からの国産天然ガスを利用し、製造の際に副次的に発生するCO2は、既にガス生産を終了した東柏崎ガス田平井地区の貯留層へ貯留する。

合成燃料、バイオ燃料
日揮HD 東京都の廃食用油回収促進事業に採択 2026/6/16
日揮HDは、コスモ石油、レボインターナショナルと共同で提案した東京都のSAF製造に向けた公募事業「廃食用油回収促進に係る事業提案」に採択されたと発表した。2026年度から2028年度での採択をうけ、自治体・企業と連携した家庭からの廃食用油の回収及び国産SAF製造への利用として、SAF・廃食用油回収周知イベントなどを実施する。
カナデビア 下水処理からガス化改質でエネルギー創出 2026/6/17
カナデビアは、産総研グループと共同で研究中の下水汚泥ガス化技術について、鹿児島市南部処理場においてフィールド試験を開始したと発表した。両者は2023年3月までに下水汚泥を直接ガス化して水素などを主成分とする燃料ガスに転換するケミカルループ型ガス化改質システムを確立している。今回の試験は、システムを実環境下で検証するもので、南部処理場に湿潤基準で1日あたり2トン規模のプラントを設置し、2028年3月まで実現性評価を行う。システムが実用化できれば、消化汚泥の処理が不要になるとともに、汚泥由来の燃料ガスを発電に利用し、得られる電力を下水処理場に自給することで下水処理のグリーン化が可能になる。また、天然鉱石を含む焼却後の混合灰は、マグネシウムやリンを含んでいて、肥料としての活用を検証する。今後は、試験の成果を踏まえ、商用化に向けたスケールアップを進め、20~30トン/日(湿式基準)の実証試験の実施を計画する。

CO2回収、DAC、CCUS
川崎重工 KCCが第25回GSC賞・奨励賞を受賞 2026/6/18
川崎重工は、CO2分離回収技術「アミン担持吸着剤を用いた省エネ型CO2分離回収技術の開発」が、第25回グリーン・サステイナブル ケミストリー賞(GSC賞)で奨励賞を受賞したと発表した。吸着剤搬送設備の改良により吸着剤の粉化量を97%低減した。関西電力舞鶴発電所における石炭火力発電所燃焼排ガスを対象としたCO2分離回収実証試験、米国ワイオミング州での環境影響評価試験、明石工場におけるDAC実証設備での1,000時間連続運転などの研究開発の蓄積と実証成果が評価された。
JFEエンジ 使用済みPTP包装から合成ガスを生成 2026/6/18
JFEエンジニアリングは、第一三共ヘルスケアと共同で、錠剤やカプセルの包装に用いられる「おくすりシート」(PTP包装)などの使用済みプラスチックから、合成ガスを生成する実証試験に成功したと発表した。おくすりシートは、プラスチックとアルミニウムからなる複合資材であることから分離が難しく、これまで焼却処理または資源ごみとしてサーマルリサイクルにより処理されてきた。JFEエンジは、廃棄物ガス化技術「C-PhoeniX Process(シーフェニックス プロセス)」を適用し、おくすりシートを含む使用済みプラスチックを合成ガスに転換した。今回の試験は小ロットスケールで検証を実施、今後建設を予定する大規模廃棄物ガス化プラントでの技術検証を重ね社会実装を目指すとしている。

運搬・貯蔵、燃焼、その他
住友精密 水素航空機エンジン用の熱交換器開発 2026/6/17
住友精密工業は、川崎重工がNEDOから委託を受けている水素航空機コア技術プロジェクト向けに、水素燃焼式航空機エンジンの液化水素熱交換器を開発し、実環境レベルの実証実験を完了したと発表した。液体水素を燃料として使用するが、従来燃料と比較して燃焼速度が高く、高温で燃焼するため燃焼制御が難しいという課題のほか、金属材料の劣化、熱衝撃による破損、漏洩時の爆発防止などの課題をクリアしなければならない。住友精密は、これらの課題を解決し、液体水素をエンジン燃焼器に適切な温度で供給する熱交換機を開発し、破壊圧試験や熱衝撃試験など強度成立性を確認する各種環境試験での実証試験を完了した。開発した熱交換機は2026年より川崎重工で実施する水素エンジン試験に使用される。川崎重工は2030年度までに地上での実証試験を終了し、実機航空機エンジンへの搭載を進め、事業化を目指す。

第一実業 水素燃料によるアルミ溶解実証の工事を実施 2026/6/17
第一実業は、デンソーのインド事業会社DENSO HARYANAで水素燃料を活用したアルミ溶解実証事業向け工事を完工したと発表した。デンソーが、経産省の令和5年度補正グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金に採択された「電動車の性能に直結する電源・モータ向け高精度大物アルミダイキャスト」で、水素燃料によるアルミ溶解および真空低圧鋳造の技術実証を行う際のアルミ溶解保持炉に関するものだ。第一実業は溶解保持炉の水素燃料対応ヘの改造、およびダイキャストライン一式への移設工事を実施した。現在は、第一実業のインド事業会社が水素供給ステーションの建築およびダイキャストラインにユーティリティ工事を実施している。
JERA 燃料アンモニア輸送船の定期用船契約を締結 2026/6/18
JERAは、日本郵船株式会社のグループ会社NYK Bulkship (Asia)および商船三井と、燃料アンモニア輸送船各2隻(計4隻)の定期用船契約を締結したと発表した。2029年度を目途にJERA碧南火力発電所でのアンモニア20%混焼の商用運転開始を予定するのに伴い、米国ルイジアナ州「Blue Point」で製造される低炭素アンモニアを、VLGCサイズの輸送船で輸送する。大型船でのアンモニア輸送は世界発となる。
岩谷産業 液化水素冷熱の建物空調、冷凍設備への実用に向けた実証を開始 2026/6/18
岩谷産業は、大林組と共同で、液化水素の冷熱利用に向けた熱交換技術を開発し、建物空調等に利用する実証を開始したと発表した。液化水素の冷熱利用は、熱交換過程で二次冷媒が凝固し、伝熱性能の変動や流路閉鎖などの課題があった。岩谷産業は、伝熱特性の研究を行い、二次冷媒の凝固を許容しながら、冷熱を安定的に回収できる熱交換技術を開発した。開発技術を建物空調用の冷水や冷凍ショーケース冷却に利用する実証を実施し、液化水素の気化過程で得られる冷熱量の90%程度を回収し、建物空調等に利用することで、空調用電力の削減に寄与することを確認した。岩谷産業と大林組は、液化水素の冷熱回収・利用の知見を蓄積し、適用可能性を検証するとともに、建物以外で低温を必要とする産業用途への応用可能性についても検討を行い、液化水素の利用価値を追求していくとしている。

プラスチック
三菱ケミカル アウディQ3ドアパネルにバイオエンプラが採用 2026/6/16
三菱ケミカルは、アウディが2025年10月に発売を開始した新型Audi Q3のドアスイッチパネルに、植物由来のバイオエンプラ「DURABIO」が採用されたと発表した。アウディの内装材にDURABIOが採用されたのは初めてとなる。
中計
各社が発表した中期経営計画からGX、クリーンエネルギーに関係する部分を抜粋する。
コスモエネルギーHD 2026/6/18
次世代エネルギー市場については、成長途上で脱炭素社会へ向けた移行期間は長期化すると認識している。対応として、石油と次世代エネルギーを一体で取り組むことで効率化と低炭素化を推進する。2035年までの投資額は3,000億円を予定し、2035年度の経常利益1,200億円を目標とする。

中計での取り組みは、供給基盤の構築として精製と販売での方向性を挙げている。
・精製: SAF供給体制拡大、岩谷産業との提携で液化水素・グリーンLPG製造検討、製油所のCCS・省エネ検討、バイオエタノール(E10)導入対応検討。
・販売: 岩谷産業との連携による水素ステーション拡大 (3号店(新砂)を2027年度中に開所予定) 、バイオエタノール(E10)のSS導入検討。
東洋エンジニアリング 2026/6/19
燃料アンモニア・水素およびSAF・合成燃料について以下のように認識している。
・燃料アンモニア・水素: 日本では支援制度を背景に燃料アンモニア・水素案件のFEEDを実施する案件が絞り込まれる見込み。海運ではIMO中期対策の採択延期により、海運分野の投資判断は慎重化。
・SAF・合成燃料: 2030年に日本で給油想定されるSAF量は171万klに対応すべく設備投資が拡大する。低CI(炭素排出原単位)値に対する支援制度動向を各社注視しつつ、日本では各種FEED案件が遂行中。
GXは、次世代燃料・原料需要が拡大するとともに、eメタノールや燃料アンモニア、廃プラ油化技術等の保有技術の社会実装を推進することで、新たな収益基盤として位置付けている。
事業戦略として、新中計では、g-Methanolおよび廃プラ油化の商業案件の形成・拡大や小型アンモニア分解の実証機への移行を推進する。

統計
エチレン 生産量、稼働率 2026年5月
原油・粗油 輸入数量 2026年5月
ニュースウォッチ
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